勇者様のスカウトを受け、田舎からはるばる帝都に上京してきたヴァニラ(資格:迷宮学士。特技:料理)は、手違いで勇者部隊から門前払いをくらってしまう。途方に暮れるなか、巡り合ったのが迷宮自警団の生活補佐という仕事だった。
職場はチル! ゆるい勤務体系、ゆるい職務。変人が多いアットホームな職場です。
得意の料理を活かし、自警団のために働いていたヴァニラは、ひょんなことから職員の悩みを聞くことになる。同僚の悩みを知ったヴァニラは考えた。
目の前にこんなにいい実験体…じゃない、困ってる人がいるのだから、私が力になろう!
かくして、彼女の「料理によって他者のスキルを開花させる」というチートスキルにより、悪気ゼロ、善意にもとづく人体実験…じゃない、お悩み解決にいそしむ日々が始まった。
自警団同士の抗争、国内の権力争い、スタンビート…。
さまざまなトラブルやイベントを、持ち前の天然マッドサイエンティスト気質とスキルで、美味しい料理とともに解決(?)していく。
変人の自覚がない変人たちの掛け合いが好きな人にとってもオススメ!
ヴァニラの楽しい職場生活をぜひお楽しみください!
よくゲームで「ドーピング料理」ってあるじゃないですか。火耐性を10%アップしたりINTの潜在能力を4上げたり。やり込む人なら、キャラクターの役割に合った効果が出るように特別なドーピング料理を食べさせたりしますよね。魔法使いに魔力アップとか、タンクに状態異常耐性とか。バフ効果と引き換えに、最大HPが下がる副作用とか。侵蝕値が上がるとか。
でもって、ヴァニラの料理はもっともっと強烈です。なんせチートなスキルが生える。代わりにちょっと精神に影響したり人格変わったりしますけど。
帝都グラーテ自警団のメンバーたちは大喜び。ヴァニラは「癒やし」「常識」「節度」を併せ持った普通の子っぽい気がしますし、料理もとってもおいしいです。まるで、メンバー1人1人の身体に合わせたお薬のよう。
そしてヴァニラも大喜び。個性豊かで強い幻素を抱えた自警団員たちは、迷宮素材が人体にもたらす効果を実験する被検体にピッタリです。「薬膳料理」って、便利な言葉ですよね。
マッドサイエンティストの視点で進む善性の狂人の物語、ぜひ全話読んでください。