第8話

二人が声のする方へ顔を向けると、そこには猫のような目をこちらに向けてる男が立っていた。



ぶかっとしたパーカーを着たその男の胸元には獅子の刺青がそっと覗いている。



そして男は私の隣までやって来て、ゆっくりと白い腕で私の肩を抱いた。




「なんか、ご用ー?」



そんな声が私の耳を掠める。


レオ…、なんでいんの?


結局あんたが出てくんなら、私が来た意味ないじゃん。




「いや、こんな時間にこんな場所でこんな子が1人で歩いているの危ないなーって。」



そう答えたのはユキと呼ばれた人。


ヘラッと笑いながら頭を掻いている。



ルイの方は無言でレオを見ていた。


というか、睨んでいるように見えるのは気のせいだろうか。



そんな二人にお構いなしにレオはニコリと微笑む。




「ちょっとお使い頼んでいただけなんだけどー。何もないならもういい?」



そう答えるレオに、ユキは少し躊躇いがちにルイの方へ視線を向けた。

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