可笑しい絵

OROCHI

第1話

 部活帰りの夕方の金曜日、暗くなってきたので早く家に帰ろうと少し小走りになる。両親は共働きで家には誰もいない・・

わけではなく、弟がいる。


 何故かそんなことを考えながら階段を上る。視界の隅に公民館が見えた。


公民館の中には図書館があり、本の種類が豊富だ。そろそろ読む本もなくなってきたし、明日にでも本を借りに行こうか。


そう思いながらドアを開ける。


「ただいまー」


「おかえりお兄ちゃん」


そう言って弟が返事をする。最近まで昏睡状態で入院していたことを考えれば元気になったものだ。


しかし、床を見たらそんな考えも消え去る。また、腹ばいになった弟が床に落書きをしており、赤色のクレヨンや青色のクレヨンが散乱している。


「床に落書きしたらダメだろ!」


「ごめんなさーい」


そう言いながら弟は逃げていく。ため息をつきながら、半分ぐらいまで減った消毒液とティッシュを持つ。


弟は何故か退院してから床に落書きをする。 画用紙を渡しても何故か床に落書きをしてしまうのだ。


いつものように消そうとしたが、弟がいつもどのような絵を描いているのかが気になった。いつもは消すのに必死であまり絵自体を見ていなかったのだ。


そして、絵を覗き込む。絵は二つあり、一つは俺が絵を見ている姿を描いた絵。まさに今の状態だ。


予想して描いたのかなと、苦笑しながら次の絵を見る。そこには何かの建物が赤色で塗りつぶされており、後ろが青色で塗ってある。


その建物はどこかで見たことがあるような気がした。

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