stage2 俺は見知らぬ人を探している
遠くでチャイムが鳴っていた。エドワードは猫を引き連れて学校の門の前に立っていた。見てくれが外国人なので、辿り着くまでに通行人にジロジロと見られた。
「ここにいるっぽいな」
「にゃあ」
電子辞書に割箸をくっつけただけの『ザ★サーチャーマップ』は、見た目に反して高等魔術をかけた探知機だ。それでも外見は電子辞書と割箸だ。これで見つけ出すのは、ちょっと相手の方も自分も嫌すぎないか、と同居人に言われた。しかし、だが、これでいい。エドワードはこの魔術器具が非常にお気に入りなのだった。うまくいったものだと自画自賛していると、生徒がちらほら校舎から出てくるのが見えた。帰宅時間になったのだろう。
「エドワード、校門にいると邪魔にゃあ」
「しかし、気づいてもらえなくないか」
「どうせエドワードが目立つにゃあ」
「そうか?」
不思議がっていると、『ザ★サーチャーマップ』から軽快なメロディが流れ出した。目的人物が近づいてきたようだ。
エドワードが嬉しそうに目を上げた先に、ものすごく不審がっている目をした少年が数人の仲間とこちらを向いて喋っていた。どうやらエドワードのことを誰かに知らせるか悩んでいるようだった。
「俺、悪目立ちしてる?」
「仕方ないにゃあ」
「話しかけるか」
「さっさとここを去るしかないし、仕方ないにゃあ・・・・・・」
おーい、と手を振ってみせたが、初対面の外国人もどきには迂闊に近寄りたくないのだろう、彼らは不安げな目を交わしている。
「お前、その一番背の高いの。ちょっと俺と話さないか」
「ええ・・・・・」
エドワードが探していた少年は背が高かった。近づいてみると、不安というより、この事態をちょっと面白がっている風でもあるのが印象的だった。彼は、どこか明るい雰囲気のある少年だった。
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