第3話 出会い Sideルリ
空いてる部屋がなかったから、間に合わせの病状説明室。
あの日、僕の人生が変わった。
彼女の手の上では、何者たりとも形を保ってなどいられない。
知らない病院の受付。
「すみません、アリス・ヨル先生との約束をしていた者なのですが」
「なんで俺たちが来なきゃなんなかったわけ?人事とか福祉部が行けばいいじゃん」
「仕方ないだろ、ハルトさんに直接頼まれて、カイリは断れるのか?」
「、、無理だな。」
「だろう?」
都内某所、曇天の昼下がり。消毒液の匂いの廊下。
僕たちは上司のハルトさんからの指示で、とある総合病院の病状説明室へ向かっている。
・光が発現したかも知れない少女がいるから、本当なのか確かめて来ること
・本当だったら、今後どうするかの相談をすること
今日の任務はこれだけ。緊急事態用の軽い装備はしてきたが、まあ気楽な任務だ。
「あーあ!せっかく初任務、覚悟決めてきたのになー!!貧乏くじのお遣いかー!」
「これも大事な任務のうちだ。
そろそろ着くぞ。病院なんだから静かにしておけ。
第一、もう1人のメンバーが体調不良なんだからどうしようもない。」
「へぇへぇ。わかりましたよ、ルリの兄貴」
「なんなんだその話し方は。」
「実際一つ年上だし、初任務で5人も保護なんて相当だ。尊敬してんの」
もう無視することにした。
絶対に嘘だ。ニヤニヤしすぎて元の端正な顔の面影すらない。
歩き方さえもヘラヘラしている。
完全に舐められている。この皮肉屋の蛇男め。
「で、なんで病院なんだ?病人なのか?」
「あぁ、保護者の方と本人の勤務先らしい。」
「本人、、?あ、飛び級?でも病院ってことはまさか」
「医師資格を持っているらしい。」
「まじ!?同い年、15だよな?」
「そうだ。薬剤師でもあるらしい。」
「天才な上努力家か?もう何も言えねぇよ」
何も言わなくていいし、本当に静かにしてほしい。
「んで?どんな能力が発現したっていうんだ?」
歩きながら聞いてくる。
「状態変化、らしい。」
「状態変化ぁ?液体とか固体とかのアレ?」
「義務教育ってちゃんと機能しているんだな」
「遠回しにバカって言ったろ」
ノックは3回。
くぐもった「どうぞ」
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