第5話 「お前特課に来いよ。もっと強くなれるぞ。」
訓練は非常に過酷で自分の限界を感じるレベルだった…
嘘です。
アメリカでの訓練のように死なないギリギリを攻めるようなモノでは無く、多分過酷だろうな?と言うレベルだった。
一応、ココでも、前に犬塚部長から言われたように少し手加減はした。
でも、新入社員研修みたいにぬるい感じでは無かったのでしっかりやった(ように見せた)よ。
体力はあります、技術もあります、でもまだヒヨッコです感?を出してみた。
ちょうど、年の近い先輩らしい人がいたのでそれよりちょっと足りないくらいを心掛けた。
この辺りの匙加減は上手い事いっていると思う。
変な目で見られたりしていないからね。
座学や現場対応訓練はさらに詳細な内容が実施されているので結構やりがいがあって楽しい。
情報の収集、リスク評価、セキュリティプランニングやセキュリティマネージメント等の指揮系統訓練。
これはどちらかと言うとこれまでやってこなかった分野でオッサン(イーグル)の考えていた事がなんとなく理解できる内容になっていた。
色んな事を考えながら準備している指揮系統の人達はホントに大変だと改めて感じる内容だった。
警備対象の保護、観察力、緊急時の即時介入、緊急退避行動、特殊運転技術、救急対応、スパイグッズ対策、爆発物対策、衝突回避技術等の即時対応訓練は今までの攻撃側とは逆の事を考えながらやる事になるので色々と考えさせられた。
何というか、向こうでの訓練は基本的に襲撃する側だったから。
守る時はどう動くのか?マル対(警護対象の事)を守るとはどういう事かを考える必要があった。
対象によって保護の仕方を考える必要があるな、と考えさせられた。
日々の訓練は充実しており、実際、この会社に入って良かったのではと思ってしまっている自分がいる。
確かに自分の性格上、日々、緊張感があり、充足している生活は、ただのフランス語教師になっていた可能性を考えると良かったのかもしれない。
でも、休暇の度に道場に呼び出され(なぜか休暇は把握されている、当たり前か)、武術訓練を、社内での訓練など比べ物にならないレベルの厳しさで課されてしまっている現状には納得出来ていない。
でも、後でこの武術訓練も時間外手当がについていて勤務扱いと聞いてしまい、断れなくなってしまった。
ある時、会社での訓練中に見慣れない人達が来ているのを見て、レベル合わせのターゲットにしている先輩に聞いてみた。
「ホシノさん、あの人達誰ですか?あまり普段見掛けないですよね。」
「あぁ、特務警護課の人達だよ。時々、僕らの訓練をみて使える要員をスカウトしに来てるんだ。」
「特務警護課って何をしている課なんですか?名前からしてなんか凄そうですけど…」
「リスクの高いVIPとか要人警護担当らしいけど詳しい事は知らないんだよね。情報規制されてるから。」
「成程、ヤバいんですね。」
「何言ってんの、タチバナさん。あの人達は会社のエースだよ。マジかっこいいよね。」
「・・・そうですね。」
「何で僕を押すの?止めてよ。」
「押してないですよ、ただ、こっちに行きたいだけです。」
「何してんの?ホント。」
ヤバいヤバい。私のアラートが警報鳴らしてる。ここは逃げないとヤバい。
「タチバナ!ちょっと来てくれ!」
「・・・」
「え?タチバナさん呼ばれているよ?」
「私以外のタチバナさんなんじゃないですか?」
「そんな人いる訳ないじゃん。あ、」
「おい、相変わらずいい度胸だな、ちょっと話がある、ついてこい。」
折角、目立たず良い感じのポジションになって来たのに…
このガッチリマッチョは知ってる。
道場で時々教えてもらう指導教官のカジワラさんだ。
だからこそ、マズい。スカウトって何だよ。
会社組織の中なんだからさ、人事異動の時で良いじゃない。
「何でお前、このレベルの訓練でダラダラやってんだ?」
空気読んでよー、いや、確かに道場でも空気読めないメンバー筆頭だったわ。
「いや、ダラダラなんてしてないですよ、ホントですよ?そんなダラダラなんて出来る訳が無いじゃないですか。」
「まあ、良いや。お前特課に来いよ。もっと強くなれるぞ。」
イヤ、そんなの求めてないから。あんた、どこのサ〇ヤ人だよ、強くなれるから修行するぞみたいなのオカシイからな。
「えーっと、部長に確認してもらって良いですか?」
「は?何で犬塚さんに?」「ちょっと色々有って。」「ふーん、分かった、ちょっと待て。」
カジワラさんが電話してる。訓練所のみんながこっちを気にしてる。こういう感じになるのがイヤだったんだけどなぁ。
「タチバナ、お前は特課預かりになった。」
「え?何でですか?」「ちょっと事情があってな。即時対応訓練はレベルⅢまで出来ているんだろう?」
「はい、一通りクリア出来ました。」
「だからだ。」「どういう事ですか?」
「警護担当になるにはウチの即時対応訓練のすべての項目でレベルⅡのクリアが必要になる」
「レベルⅡ?」
「特課担当になるにはすべての項目でレベルⅢのクリアが必要になる」
「レベルⅢ?あれ?警護担当がレベルⅢなのでは?」
「ふつうは警護担当で経験を積んだ担当官がレベルⅢをクリアすると、我々が確認して特課にスカウトするんだ。」
あれ?という事は?
「お前は既に特務警護課のセレクションは通過しているという事だ。」
「え?何でですか?ホシノさんの方がクリア率高いですよね。」
「あん?ホシノは前から候補に挙がっているが、実戦経験が少ない事と警護課の方で抜けられるとヤバいからブロックが掛かっているだけだ。お前は関係ないからな。特課は若いのが少ないから丁度良いんだ。」
マジか、ホシノさんマークしてたのは間違いだったのか…
ホシノさん…その表情は分かってたって事ですよね。後で覚えてろよ…
警護任務のポイント
情報の収集(Information/Intelligence Gathering)
脅威の評価(Threat/Risk Assessment)
セキュリティプランニング(Security Planning)
マネージメント(Management)
警備対象 (Principal)の損失防止(Loss Prevention)
不審兆候を見抜く観察力(Observation Skill)
緊急時の即時介入(Intervention)
緊急退避行動(Evacuation)
警護特殊運転技術(Protective Driving)
救急法(EFA)
特殊情報収集機器(ESD)対策
爆発物(IED)対策
衝突回避技術(Conflict Management)
橘 亜沙子(タチバナ アサコ)(女)(23歳)
主人公 日頃の訓練に充実感を覚えながらなるべく目立たない様に立ち回っていたが、KYな道場での指導教官により特務警護課への異動がいつの間にか決まってしまっていた。
でも周りからはやっぱり…みたいに思われていたことは公然の秘密。
カジワラ(男)(30代)
『KS警備保障株式会社』特務警護課の要員。道場でも指導教官。
アサコの事は道場でも見どころあると思っていたのに、あまり目立たなかったから不思議に思っていた。ちょうど視察で発見したのでコレ幸いと声を掛けた。
裏の都合とかは余り考えない。
ホシノ(男)(20代)
『KS警備保障株式会社』警護部 1課の若手エース
実は特務警護課に何度も呼ばれているが、何故かいつも外せないミッションに駆り出されており、巡り合わせが悪い。いつ呼ばれてもおかしくない人材。
でもアサコの高すぎる能力を理解しており、アサコが自分より先に特課に行く事に悔しいが疑問は感じていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます