第4話 穂乃花の想い

□穂乃花


 ここまでは上手くいった。

 なにせ悠君を招き入れることに成功したからだ。


 悠君はきっと知らないだろうけど、一緒に暮らしていた頃から私は星占いとか、予言とか、黒魔術とか、悪魔信仰とか、いろんなものに手を出していた。


 全ては悠君と添い遂げるため。


 あぁ……。


 悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡悠君♡。


 ちゃんと悠君の歳の数だけ名前を思い浮かべて、と。


 


 悠君……もう離さないからね。


 本当は全部脱がせて縛り付けて永遠に愛撫し続けたい。

 とっても気持ちよくさせてあげるからいいでしょ?


 本当はあの時もそうするはずだったのに。きっとあの女が邪魔をしたんだよね?


 私の悠君に変なことを吹き込んだあの女……。


「えっと……大丈夫ですか? 提子ひさげちゃんが……」

「いいのよ。悠君に手を出そうとした罰よ」


 悠君にしてあげたかったスキルも、バカな子相手に試すこともできた。

 そしてしっかり効果も確認できた。


 って、まぁ、転生してきたばっかりの悠君に"暴露"は使ったんだけどね。

 服がどこかに行ってしまったけど、そうなったらもう我慢できなかったの。


 それに、神様の強制力の前で服は復活してたから問題ないわよね。


 バカな提子ひさげは次に呼び出されるまで裸でいなさい。 



 ちなみに三人官女もそれぞれ元人間だけど、元の名前なんかに一切の興味はないから、歳が上から順に長柄ながえ三方さんぽう提子ひさげとだけ呼んでいるわ。


 今話しかけた妖艶な女が長柄ながえで、全裸で転がってるのが提子ひさげ、私たちを見てオロオロしているのが三方さんぽうね。



 三方さんぽうは前世で旦那さんが不倫していて、勇気を出して問い詰めたら殺された可哀そうな子だから、もし悠君に手を出さないなら優しくしてあげてもいい。


 でも、提子ひさげだめ。

 あの子はただの遊び人で、元の世界に帰れるなら帰りたいけど、その間この世界でも遊べるなら遊ぼうとか思っていそうだ。


 悠君にもし手を出したらこの程度では済まさないわ。



 そして長柄ながえ。彼女は……



「とりあえず説明してくれてありがとう」

「もちろんよ。なんでも話すし、何してもいいのよ? ほら。ねぇ」

 悠君♡

 あぁ悠君♡


 でも、ダメよ、悠君。

 あんな子に大きくしちゃだめ。

 お仕置きしちゃうんだから……。











 とりあえず、数日の間、神様はやってこないだろうから、私は思考を進める。


 なんとか悠君を誘い込めたこの世界で、私は悠君と2人きりで永遠に生きていきたい。


 もうあんな別れは嫌よ。


 悠君は私のものなの。

 


 ずっとお弁当を作って来た。

 あんなによく聞くらしい呪物を入れたのに、別れようなんて言われた。


 予想もしてなかった。


 でも、この世界に来た悠君はまるで憑き物が落ちたみたいに私に従順……。


 これを永遠に続けるの。


 

 大丈夫よ、悠君。

 あんなこともこんなこともできるからね。


 ここでは子供も生まれない。

 ヤりたい放題よ?


 だから。


 ねぇ、お願い。


 永遠にここにいましょう?




 そのために、私……ぜったいに『ひなまつり』を失敗させるからね……。

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