俺ってモラハラ元彼女に刺されたよな……なんでお内裏様に転生してるの?しかも元彼女がお雛様?……まじかよorz とりあえず神様の目的を叶えて生還したいのに邪魔するなよ、お雛様!!!
蒼井星空
第1話 俺……死んだはずだよな?
……なんかめちゃくちゃ気持ちよくて湿っぽい。
んっ、んっ……♡。
めちゃくちゃ妖しい声……大きな音をたてないように耐え忍んでいるような声が聞こえると共に、自分の体が艶めかしいものに包まれる。
って、なんだこれ?
俺……は、死んだよな?
とりあえず自分の胸より下を見ることを放棄して、気持ちよさに身を任せつつ記憶を探る。
それは春のある日。
10年に渡る酷いモラハラ彼女……穂乃花と別れた俺。
あれは酷かった。
最初は良かった。
とても可愛い子で、優しくて。
出会ったのは大学生の頃だった。いつも学食で適当にご飯を食べてた俺に毎日 お弁当を作ってくれた。
めちゃくちゃ美味しかった。
お金を払おうとしても受け取ってもらえず、毎日可愛らしくラッピングされたそれを手に、かなり優越感に浸っていた。だって、可愛くて甲斐甲斐しい彼女なんて、自慢以外の何物でもないだろ?
たまに他の女の子と会話したりすると酷く機嫌が悪くなって、夜に激しく求められる以外に、変なことはなかった。
んっ、んっ……♡。
そう……今みたいに……。
それが変わったのは大学を卒業し、社会人になってから。
同棲を始めたのもあって、それまで毎日2時間の電話が、そのままストレートに愛し合う行為に変わったのはまあいい。
大変だったのは朝だ。
誰もが知ってるような大企業に就職した穂乃花に比べると、俺はマイナーな中小企業に就職した。そこは働きやすく、自分がやりたかったことができる職場だった。
ただ、期限直前とかでたまに遅くなることがあった。
それを穂乃花は許せなかったらしい。
『退職して』『私が養うから』『気楽に転職しよ』『私が支えるから』なんて言ってた頃はまだ可愛かった。
そう……睡眠薬を盛られるまでは。
気付いたら夕方で、会社からの電話に喧嘩腰で応対している穂乃花の姿が見えた。
すぐにスマホを取り返し、平謝りした。
もちろん俺の彼女はヤバいやつ認定されつつも、それまで真面目に仕事をしていたこともあって、致命的な汚点にまでは至らず、そのまま働くことができた。
それ以降、俺はちょっとこの彼女はまずい人なんじゃないかと思いだした。
夜は気持ちいいし、基本的に俺に従順だし、褒めてくれるから居心地はいいけど、俺に対する執着心というかなんというか……。
んっ、んっ……♡。
なんというか離してくれない。
俺が遠ざけると逆に近付いて来る。
前に、穂乃花が休みの日。俺は知らずに少し早く帰ってきたら、穂乃花が段ボールの中からたくさんのベルトを取り出して何やらぶつぶつ言っている姿を見たことがある。
あの時は『なんだろう』くらいにしか思わなかったんだけどさ。
ある日起きたらそれが俺の体にたくさんつけられていて……。
動けなかった。
それは穂乃花の誕生日。
一応、違和感は感じつつも俺はお祝いする気でプレゼントだって用意してた。
でも、そんなものはいらなかったらしい。
『今日一日自由にさせてくれるんだよね?』
その笑顔は今まで見た穂乃花の顔の中で一番怖かった。
んっ、あんっ……♡。
そう、あの時よりも……。
「なんで?」
生気を失った目でぼんやりと俺を見つめる穂乃花。
なぜこうなったのか……それは簡単な話だ。
俺が……。
「だから、別れよう。理由は……わかるだろ?」
「わからないよ?」
ひたすら首を傾げられた。その様子は本気で何もわかっていないみたいで、恐ろしかった。
それから俺は会社で前からたまに話をすることがあった同僚の女の子と仲良くなった。
気さくな2つ年上の先輩で実は穂乃花のことを相談したりもしたんだったな。
それがまさかあんなことになるなんて。
んっ、んっ……♡。
血だらけのナイフを持って笑う穂乃花……。
その血は先輩……そして俺のもの。
穂乃花は俺をどうしたかったんだろう。
わからない。
でも、俺のことを刺したナイフを手に……崩れ落ちていく俺のことを笑いながら見つめていたんだ。
んっ、んっ……♡。
今、俺にまたがりながら浮かべているような笑顔で……
いや、それよりもずっと幸せそうな笑顔が目の前にあった……
って、おい!?
なんだよこれ?
「なんで……穂乃花……!?」
「んん……やっぱり、悠君だ……んぅ……」
まだあまりうまく動かない頭……。
なんで俺はモラハラ元彼女にキスされてるんだ……。
それに、俺の下半身は今どうなってる……?
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