この短編集は、第二作目と銘打ってある
通り,裏街の異界をめぐる前作を一旦、
完結にして、新たに始まった
超短編怪異譚である。
ところが。短いなどと侮るなかれ、この
一つひとつの話の奥行きの深さに思わず
唸らされる。それはきっと、作者の
薄暗がりに目をやるタイミングや場所、
そしてセンスが、
何もない場所
それを異界への入口にしてしまうのだ。
少し怖いけれど、興味がある。そんな人は
是非ともこの作品を開いて欲しい。
何気ない日常が、路地裏の先の薄暗がりが
いつの間にかアスファルトに描かれる
小洒落た書体の薄墨色の 【矢印】
矢印の指し示す方へと足を向けてゆく。
何処に着くかは、分からない。どこにも
着かないかも知れない。
そして、はっとする。
此処は、もしかしたら。