第17話 俺は俺に出来る事をやるだけ

 「私達のペアも代表して私が戦わせて頂きます」


 そう言いながら手を上げるレイカに、会場は静まり返る。



 「いや良いのか? こっちとしてはありがたいんだがよ」


 「私の独断ではありません、彼女も先程のレンさんを見て元々辞退するつもりだったのです」


 ハルキがペアに目を向けると、うんうんと必死で頷いて居た。

 ハルキはそれを見てニヤリと笑う。

 

 「まぁ、そんなら丁度いい。俺も自分より強い奴ってのに興味があったんだ。タイマンでやらせて貰う」


 ハルキが構えをすると、レイカは勿論と頷く。




 審判席では


 『学園長どうしますか?」

 

 審判が学園長に指示を仰ぐと、学園長は構いませんとオッケーポーズを作る。


 『っしゃあ、野郎ども〜!! 学園長がこのタイマン認めてくださったぞ!』


 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお


 『それじゃあ、3回戦!準々決勝始め!」


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 「恩こそありますが、こちらも本気でいかせて貰います」

 

 「へっ、当たり前だ」


 二人は睨み合い、相手の出方を伺う。



 観客席では

 

 「意外だな、アイツなら直ぐ殴りかかるとでも思ったんだけどな」

 

  ホノカは頭の後ろに手を回しながら、不思議そうにストローでジュースを飲む。


 

 「まぁ、お前との戦闘が大分堪えたんだろうな」


  レンがホノカとハルキの初対面を思い出しながら苦笑いをすると、サヤカがステージを指差す。


 「あ、動いた」



 

 「喰らいやがれ」

 

 ハルキが拳の魔球に力を込めて、全力の一撃を放つ。


 「クソッ」


 しかし、レイカが軽く避けると、観客席はあちゃーという顔をする。


 

 「甘いですね」


 「それはどうかな」


 ハルキは拳の勢いをそのまま地面にぶつけると、辺りは一瞬煙で覆われる。


 

 ハルキがその隙に足払いを掛けようとするが、レイカはこれも軽く避ける。


 「それが甘いんです」


 レイカがハルキと距離を取り魔力を込め始める。


 「ハァアアアアアア」


 「なんだ?」



 ハルキが屈んだまま不思議そうに見つめると、レイカの背中から八個の龍の首が出て来て、一匹がハルキを仕留めようと攻撃をしかける。




審判席にて


『が、学園長。アレはアリなんですか?』


審判がステージを指差しながら、恐る恐る聞く。


『アリです、大きな魔法球の中で龍を作り上げてるだけなので全く問題ありません』



観客席にて


 「学園長なんでもありじゃないですか・・・・・」


  サヤカは苦笑いをする。


 

 「魔龍使いのレイカね、だがホノカならあれくらい余裕か?」


 レンの表現に、ゲッ。とサヤカが顔を曇らせるが、ホノカは手を振り、違うと言う。


 「コントロールならアタシのが多少上だが、あそこまでの魔力量の生き物は作れない、しかも八匹だ・・・・・ 」

 

 ホノカは顎に親指を乗せて考える。

 


 「2回戦でレンが見せた魔法球より流石に威力は劣るが、厄介な事には変わりない」


 まぁ流石に制約くらいあるだろうが。そう思いながらステージを見る。



ステージにて

 

 ハルキは横に回転し何とか龍を回避するも、新しく出てきた一匹の龍に脇腹を噛まれる。


 「ぐあっああああ」


 ハルキが苦しんでステージを転がると、他の六つの首も攻撃を仕掛ける。ハルキはそれらを回避できず、ステージはまた煙に覆われハルキの姿が見えなくなる。

 

 

 『流石は学園No.3の実力、ここまで快進撃のハルキ選手もコレはきついか』




 観客席にて

 

 「やべーな、1試合なら何とかなんて思ってたが、アイツ《レイカ》 この試合に文字通り全力を出してやがる。物理一筋のアイツじゃちとキツイな」


 「全力・・・・・、そう言う事ね」

 

 レイカの強さに心当たりを感じたが、だとしたら余計勝ち目は無いか。そう考えホノカは苦い顔をしながらステージを見る。




ステージにて

 

「止めです」


 そう言うと、レイカの龍達は赤・青・黄・緑・紫・白・黒、そして真ん中の首は八色に輝き始める。

 

 「7色の大蛇」


 真ん中を除いた7つの首が、同時にハルキが居るであろう位置の煙に突き刺さり凄まじい音を立てる。


ドゴォォーン




 煙が消え視界が晴れると、ステージには大きな穴が空いているのみでハルキの姿は無くなって居た。

 

 会場が静まり返り、誰もがレイカの勝利を確信する。




 「ど、どうしたんですか?」


 レイカは焦りながら白色の龍を見つめる。するとレイカの白色の龍が暴れ始め、観客席や審判席のスレスレに当たりそうになる。


 観客や審判が、時折屈み、何だ何だ?とステージを見つめていると、白色の龍はステージに体を何度もぶつけ、遂には腹を向け白目を剥きながら倒れる。


 

 「な!?」


 すると次は黒色が、紫が、緑が、赤が、青が、黄色が暴れ出し、6つの首がほぼ同時に倒れ破裂する。

 

 魔力の血が一通り会場に降ると、ステージ中央に人影が見え始める。


 



 「レン先輩!」


 サヤカがそう言うと会場も、うぉおおおおおおおおおおと歓声を上げる。

 

 

 「あの馬鹿、ヒヤヒヤさせやがって」


 レンがそう呟くと、ステージのハルキは満身創痍で脇腹を抑えながらレンに親指を立てる。



 「面白い」


 レイカはそう言いながら、辛そうな表情をする。

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