第28話 おばあちゃんが好きな二人
【工藤真】
オレは、給食が終わったときに、宮城だけに声をかけた。
宮城は逃げなかった。そして、ついてきた。
「宮城、お前の母ちゃん、霊媒師か、何かか?」
「俺のお母さん?」
「コンビニでの、背の高い女の人?あの人は、俺のおばぁだよ。」
そうだ確かに、
「マー君が、お孫さんを虐めて、ごめんなさい」って、言ってた。
「あの人、宮城のおばあちゃんだったのか。」
かなり驚いたけど、興味が出てきた。
オレは、宮城に「なんで、お前のおばあちゃん、オレのおばあちゃんが死んだって知ってるんだ。宮城、お前誰かから聞いたのか?」
と聞いてみた。
宮城が、
「俺は知らなかったよ。おばあは、工藤のおばあさんの霊が見えたんだよ。」
「霊が見えた?」
「俺のおばぁって、沖縄でユタをしているんだ。沖縄では、霊媒師のことをユタっていうんだ。霊が見えるだけではないけど。」
宮城は、少し楽しそうに言った。
「ただ、おばぁは、ユタとしても、すごいけどね。」
おばぁちゃんの話をしている、宮城の目は、活力があって、イキイキとしていた。
「宮城、お前、本当におばぁちゃんが好きなんだな。」
「そうだよ。大好きさ。」
「工藤、お前も同じだろ。」
「オレのおばあちゃんは、死んだけど、今でも大好きだ。宮城、オレとお前は、おばあちゃんコンプレックスだな。」
「略して、オバアコン?俺たち。」
「ぷっ!アハハ!宮城、センスねぇな!」
「なんだよ!それ。いいじゃないか。オバアコン。面白くて。」
「まあ、そうだな。にしても、オバアコンって!アハハ!センスねぇ!」
久しぶりに大笑いした気がした。
「なあ、宮城。今まで悪かったな。」
「どうしたんだよ、急に。」
「まあ、その、なんだ。『自分が悪いことしたら、きちんと謝りなさい』って、おばあちゃんから言われてたんだよ。」
「それに、おばあちゃんっていじめとか絶対に許さない人だったんだ。」
「そうか、だったら許すしかないな。俺も、おばぁから『きちんと謝ったやつは、許してやれ』って言われたからね。」
随分、あっさりしてんな。こいつ、もっと暗くて、ジメジメしたやつだと思っていたけど、結構いいやつかもしれない。
「さすが、オバアコン。」
「最高の誉め言葉だぜ!宮城!もっと言え!!ってか、宮城もだろ、それ!」
「よっ!オバアコン工藤!」
「よっ!オバアコン宮城!」
「これからよろしくな!同じオバアコンとして!」
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