第25話 霊への気持ち その4
【具志堅沙苗】
お姉ちゃんが、
「
と聞いてきたので、麦ちゃんは、丁寧に答えてくれました。
「沙苗は、美那子さんの霊が、あの世に行く姿が見えたの?」
と、お姉ちゃんに聞かれたので、
「見えたよ。とってもきれいで暖かな光に包まれて、優しそうに私たちに微笑んで、ゆっくりと昇って行ったよ。」
「そうなんだ、私も見たかったな。麦ちゃん、私も見えるようになりますか。」
「こればっかりは、分からんさ。きっかけがあって見えるようになる時もあるさね。見えることがいいことかどうか、分からないからね。怖いかもよ。」
麦ちゃんはいたずらっぽく答えると、笑い始めました。
みんなも釣られて笑ってしまいました。
頼んでいた食事がきました。
食事の時も、
また、麦ちゃんが今までにあった霊や生霊の話は、とても面白かったです。
あっと、言う間に時間が過ぎて、すでに8時になっていました。
「とても楽しかったさ。でも、もうそろそろ、お暇しましょうね。」
と、麦ちゃんがいいました。
私は、
「また、すぐに会えますか。」
と聞きました。
「沙苗ちゃんが会いたいなら、すぐに会えるよ。肉体じゃなければね。」
「毎日でも会いたいです。」
と思わず答えてしまいました。
「大変だと思うよ。」
宮城君は、大笑いしていました。
お父さん、お姉ちゃん、私の3人は、玄関まで、麦ちゃんと宮城君をお見送りに行きました。
玄関先で、麦ちゃんが、
「沙苗ちゃんも、明日、空港に行くね。」
と聞いてくれました。
「はい、行きたいです。」
「じゃ、一緒に行こうね。」
お父さんが、
「また、沙苗がお世話になります。」
「沙苗ちゃんもいたほうが、楽しいさね。」
「じゃ、具志堅さん、明日の8時半に、学校の校門前で。」
「分かりました。」
と言うと、麦ちゃんと手を振りながら出ていきました。
私たちは、二人の姿が見えなくなるまで、見送っていました。
お父さんが、
「麦ちゃん、宮城君も明るくて、とても温かい感じがする。いい人たちだったね。」
「私も、明日、空港に行きたいけど、弓道の練習があるから行けないな。行きたかったな。」
すると、急に、お姉ちゃんが、
「憑依について訊くのを、忘れてた。どのように憑依するか聞きたかったのに。」
とても、残念そうにいいました。
私が、
「次の機会で、いいさ。お姉ちゃん、すぐ会えるからさ。」
と答えると、
「沙苗、まるで、麦ちゃんみたいな言い方だね。」
と、お父さんに言われました。
お父さんも、お姉ちゃんも、麦ちゃんと宮城君とまた会いたいようでした。
私は、明日もまた麦ちゃんに会えます。
◇◇◇◇◇
【宮城翔】
「あの家族は、いい家族さ、大丈夫だね。」
「そうだね、おばぁ。」
「翔、このあたりにファミレスないね。お腹すいたさ。」
「あるよ。やっぱり手加減してたんだね。全然足りなかったでしょ。」
「全然ではないけどさ。私が普通に食べるとさ、お金かかるでしょう。」
おばぁは、そういうと俺の肩を、ちょっと叩いた。
「よく分かってるね。」
「いくよ、翔。」
俺は、東京に来て初めて沖縄にいた時のような居心地の良さを感じた気がした。
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