「ラムネ氏のこと」のこと『過去編』
まみ。
ラムネ氏を4人選べ。ただし決して作者の中にはラムネ氏など潜んでいない。
高校の定期テストが終わり、高校生達が試験問題のことを話している。
「さっきのテスト、難しかったな!最後の問題、解けた?」
「「ラムネー氏」を全て選ぶ問題のこと?」
「選ぶのは「ラムネー氏」じゃなくて、「ラムネ氏」な!」
「全員わかった?」
「1人だけわからなかったよ。」
「あまり自信がないから、1人ずつ確認したいけどいいかな?」
「そうだね。」
「まず1人目は「ラムネの玉を発明した人」だよな?」
「それは確実!」
「2人目が「フェリシテ・ド」でいいよな?」
「それも間違いない!」
「アンゴが「フェリシテ・ドはラムネー氏」だって言ってたし…。」
「だから「ラムネー氏」じゃなくて「ラムネ氏」な!本名が「フェリシテ・ド・ラムネー」なだけだから!」
「でもフェリシテ・ドは、異常に頭が大きくて、眼光も鋭く、悪魔の国に通じる道を眺めているし、ラムネ氏である理由がたくさんあるよな?」
「テストのために、全て覚えたんだ?もうフェリシテ・ドは、ラムネ氏でいいよね。」
「そして、3人目が「ヒデオ」だよな?」
「ヒデオはフェリシテ・ドにそっくりだって書いてあったし、ヒデオも確定で良さそうだ。」
「単にそっくりなだけで、ラムネ氏だって決めつけるのが、国語のテストのすごいとこだよな。」
「ヒデオはラムネ氏に対して、「おかしなやつだ」とも言っていたけどね。結局あれって、自分自身のことを言っていたのか…。」
「それで、最後の1人なんだけど、「アンゴ」なんじゃね?」
「えっ?絶対アンゴは違うでしょ?」
「でも、他にラムネー氏なんていないし…。」
「アンゴは自分で「私の中には、決してラムネ氏など、潜んでいない」とかなんとか、言っていたはずだけど?」
「マジで?アンゴを選んじゃったんだけど…。」
「アンゴ自身が自信満々に「これは確実に言える!」みたいに断言していたから、絶対アンゴは違うはず…。」
「じゃあ、誰を選んだ?」
「渋々「トンベー」を選んだけど…。」
「玄海灘のトンベーは、確実に違うだろ!」
「でも授業中に国語のおっちゃんが、「幾百十のトンベー・イコール・ラムネ氏」って謎の式を説明していたし…。」
「それは「幾百十のトンベー」が集合した場合でしょ?玄海灘のトンベー単体じゃ、ラムネ氏に遠く及ばないって!」
「小説に書いてあることだけを信じると、候補がトンベーしかないと思うけどな…。」
「玄海灘のトンベーは、絶対にないって!だって「タロベー、トンベー、ラムネ氏」の3択の流れがあったし…。この3択を出した時点で、明らかに違うって!」
「ただ消去法でいくと、少しでもラムネ氏要素を持っているのって、トンベーしか残らないんだよな…。」
「もし玄海灘のトンベーを正解にするなら、ちゃんと「幾百十の玄海灘のトンベー」って書くから!」
「名前がトンベーの人は、そんなに玄海灘にいないから…。」
「別の可能性として、国語のおっちゃんが「ゲサクシャ」を書き忘れただけって説もあるけどな…。」
「確かにゲサクシャが選択肢になかったのは、少し奇妙だったな…。」
「現時点では、問題文の記載ミスの可能性もあるし…。」
「選択肢の記載ミスで、全員正解だったりして…。」
「その場合には、この議論も全く意味がないけどな…。」
「実は国語のおっちゃんが、ラムネ氏って可能性はないのかな?」
「いやいや。おっちゃんが「ケンランにしてキョーソーなシサクのモチヌシ」なわけないって!」
「それも試験前に覚えたんだ?でも試験問題の選択肢の中に、堂々とおっちゃんの名前が書いてあったよね?」
「授業の最後におっちゃん自身が、「えー、大事なことを言い忘れていました!実は私はラムネ氏ではありません!これテストに出ます!」って言ってたし…。」
「そんなこと、言ってたっけ?マジでどうでもいいと思って、それは全く覚えていなかったな。」
「いつもの「これテストに出ます!」の流れだったから、本当に出るかもしれないと思っていたけど、本当に出るとは思っていなかったな。」
「どっちなんだよ。」
「あのテスト問題は、おっちゃんが受け持っているクラスだけだし、わざわざ選択肢に出すジョークにしたかっただけだって!」
「本人がラムネ氏じゃないって言っていたのなら、正解なわけないか…。」
「国語のおっちゃんは、筑紫の浦のタロベーやキノコ取りの名人にも遠く及ばないって。」
そして数日後、国語のテストが返ってくる。最後のラムネ氏は、なんと「アンゴ」だったという。ちなみにアンゴとは、その小説を書いた作者の名前である。
(「「ラムネ氏のこと」のこと」に続く)
「ラムネ氏のこと」のこと『過去編』 まみ。 @mm2445
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