ナンパされてる女の子を助けたら自分の推しだった。
ポルノハブ
第1話 僕の推し
僕、大窪和真(おおつぼかずま)は子供の頃から、テレビを見るのが好きだ。
テレビには、映っている人が、実際にその場面に居なくても近くにいて、支えてくれるような感じがするからだ。
テレビを見ていると、まるで自分もその世界の一部になったような感覚になり、いつも心が温かくなる。
特に、テレビに出演しているアイドルたちを見るのが好きで、彼女たちが自分の世界をキラキラと輝かせているのを見るのが楽しみなんだ。
彼女たちはテレビの中で、宝石よりももっと美しく、派手に輝いている。それを見る度に、僕も勇気をもらったり、元気をもらったりする。
僕の中で、特に心の中に大きな場所を占めているのが、7人組のアイドルグループ「セブンスター」のセンター「篠原彩花(しのはらあやか)」だ!
彼女は、まるでテレビの画面を越えて僕に語りかけてくるような存在で、彼女の笑顔やパフォーマンスを見るたびに、どんどん好きになっていった。
その明るさ、努力家な姿勢、そして何よりファンを大切にしてくれるところが、僕にとってはすごく魅力的なんだ。
学校では友達はいるけれど、僕はオタク気質だから恋愛経験はゼロ。
クラスの中で流行っていることや、恋愛話にはあまり興味がなく、みんなが恋バナをしている時も、僕は自分の好きなアイドルの話で盛り上がっている。
周りからは「ちょっと変わっているな」と思われているかもしれないけれど、それでも全然気にしない。
だって、僕にとっては「推し一筋」が一番幸せなんだから。
彼女たちがテレビで輝く姿を見ているだけで、僕の毎日は色づいているし、それが何よりも大切なことだと感じている。
その日、学校に行く途中、いつも通りの道を歩いていた。
朝の光がまだ少し柔らかくて、空気はひんやりとしていて気持ちがよかった。
歩きながら、昨日見たテレビ番組のことや、推しの「篠原彩花」が個人で考えた新しい曲の歌詞やリズムがどんな感じだったかを考えていると、ふと前方で声が聞こえた。
「お嬢ちゃーん、連れいないでしょ? 一緒にご飯でも食べない?」
その声は、明らかに少ししつこい感じで、すぐに分かった。
見ると、道の端でスーツを着た男性が一人、誰かに話しかけている。
ただ、その相手の顔はよく見えなかった。背中しか見えなかったけれど、嫌がっているような雰囲気が漂っていた。
僕は少し遠くからその光景を見守っていたが、どうにもその男性の態度が気に入らなかった。
女の子に対して、明らかに礼儀を欠いたナンパのように見えたからだ。
「これは見過ごせない」と心の中で決め、僕は思わずその男性に声をかけることにした。
「おい、君、ちょっと失礼だよ。」
その一言で、男性は驚いた様子で振り返った。
「何だ、お前? 面倒くさいなぁ」と少しイラついた表情を見せたが、僕は怯まずに続けた。
「知らない人に声をかけられて困っているかもしれないだろ。もう少し、相手の気持ちを考えたほうがいいんじゃない?」
男性は一瞬、黙った後、しぶしぶとその場を離れていった。
僕はその女の子の方を見た。
その時、彼女がこちらを振り向いた。
「あ、ありがとうございます」と、少し恥ずかしそうに微笑んでくれた。
その笑顔に、僕は目を疑った。
その顔、見覚えがある。
髪型、笑顔、そして目元。
間違いない。彼女は、「セブンスター」の篠原彩花だった!
「えっ、もしかして…」と口が震えた。
篠原彩花は、僕が憧れているアイドルだ。
こんな偶然、あり得るのか。
「すみません、もしかして、あなた…篠原彩花さんですか?」
彼女は驚いた顔をした後、少し照れくさそうに笑った。
「うん、そうだよ。でも、そんなこと言わないで…。普段は普通の女の子だから。」
「う、うわ…本当に、篠原さんなんだ…」
僕はもう言葉がうまく出なかった。
あまりにも信じられなくて、心臓がバクバクしていた。
「さっき、ありがとうね。」
「いえ、そんな…ほんとに大丈夫でしたか?」
「うん、ありがと。助かったよ。」
その言葉を聞いて、僕は一気に気が抜けて、なんだか顔が熱くなった。
彼女が笑っているのを見て、僕の胸の中はなんとも言えない幸せな気持ちでいっぱいになった。
「じゃあ、これで。」
夏樹は、にっこりと笑って、足早にその場を去っていった。
僕はその後ろ姿を見送りながら、何度も頭の中で言葉を繰り返した。
「篠原彩花さん…この近くに住んでいるのかな?1回も見たことないけど?…」
「秘密...」
「というか、名前なんて言うの?」
「和真(かずま)!」
「和真くん、また会えたらいいね!ばいばい」
その日一日、学校では何もかもが夢のように感じて、あまり集中できなかった。
でも、それもこれも、あの偶然の出会いのおかげだ。
もしあの時、僕が声をかけていなかったら、あの美少女が篠原彩花さんだなんて、絶対に知らなかっただろう。
そして、何より、これからもずっと推し一筋で応援し続ける気持ちがさらに強くなった。
アイドルという存在が、もっと身近に感じられた瞬間だった。
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