第42話 レオズブートキャンプ
目標は、春までに全員ソロでDランク冒険者に昇格すること。
開拓村の付近に出没する魔物は、アルフォンスから聞いている限りだとDランクでも十分対処可能だ。
「アルフォンス様のお話しでは、年明けまでに冒険者ギルドの支部ができると伺いましたが……」
「はい。一応、レオさんに住んでいただいている家の共用部分に、担当者の方が常駐される予定になっています」
「あぁ、そのスペースでしたか」
なるほど。
やけに大きな建物だった理由はそれか。
「そ、それにしても、私たちより、小さな子が、凄い、ですね!」
「それはもう。冒険者は逃げ足が速くないと務まりませんから」
俺たちは今何をしているのかと言うと、例のごとくとにかく走っている。
まずは体力錬成だと告げられた志望者は、不満げな顔をしていたが『クロー』のエリクたちよりも長く走れたらすぐに戦闘訓練を始めると条件を付けたら、目の色を変えて走り出した。
「はぁっ、はぁっ」
「む、無理!」
で、結果はというと、全員『クロー』に一周差を付けられたので明日からも走ることが決定した。
「き、君たちは平気なのかっ?」
「俺たち、最初は死ぬかと思うほど走らされたよなー?」
「う、うん。でも、一週間もすれば慣れたかな」
志望者が地面に座り込んだり倒れ込む中、息も乱さず立っているエリクとエミリアンにそんなに元気な理由を尋ねた志望者たちは、
ちなみに、『クロー』のメンバーは自前の装備を背負って走っていたから、これでもハンデを付けた方なのだが……。
村人と同じく、ロベールも興味があるようで近くまでやってきていた。
レイモンは尊敬の念を込めてロベールを見つめるが、どうも反応が悪い。
「も、もしかしてロベールたちもこんなに体力があるんですか!?」
「イヤイヤイヤ……さすがの俺でもできないっすよ!」
「それって、冒険者でもない俺たちには無理なんじゃ……」
ロベールは驚いて否定しているけど、人間やろうと思えばできるって。
そう言うと、ロベールは凄く嫌そうな顔をした。
「ま、騙されたと思ってやってみなよ」
「えぇぇ……」
ということで、明日から仕事のない日はロベールも一緒に走り込みを行うことになった。本人にしてみればいい迷惑だろうけど、損はさせないよ。いつか何かの役に立つかもしれないから。
「役に立つようなことがないと良いんですけどねぇ……」
「そりゃ、冒険者な以上無理な話だよ」
「っすよねぇ~」
色々と話をしていると、ロベールは一七歳であるということが発覚した。やけにお調子者というか、ノリが若者みたいだなぁ……と思っていたら、ちゃんと若者じゃないか。
「うっす」
「ロベールはどうして開拓村へ来たんだ?」
「そりゃもちろん、報酬が良いですから! あとは、お貴族様に覚えてもらえれば、何か良い事がありそうな気がするし!」
おぉ、何と素直な青年だろうか。
素直な部分には好感が持てる。あのムカつく護衛とは天と地ほどの差があるね。
「さて、そろそろ休憩も終わりだ。また走るぞー」
「うぅぅ……」
その後、俺はお昼前まで、ゾンビみたいになったレイモンたちを走らせ続けたのであった。その後は村の設備を把握しながら、アデライトと森へ偵察に向かう。
「ふんふん、基本的にロンブリエールの森と変わらないな。外周があって、浅瀬があって……」
「今まで確認されている魔物は、ゴブリンにコボルト、ポイズンバタフライね。比較的低ランクの魔物しかいないみたい」
「唯一気を付けないといけないのは、ポイズンバタフライの毒か」
ポイズンバタフライは毒々しい紫、黒、黄色の羽が特徴でその
「毒消しは十分か?」
「ええ。冒険者たちの要請で、村にも蓄えがあるらしいわ」
「となると、あとは浅瀬との距離だな……」
丘の裏手に広がる森は、ロンブリエールの森と比べて規模が小さいからか、その分野生動物の住み家である外周が
「もう少し森の外周が大きければなぁ……」
「恐らく魔物は森の中だけで生活できていたでしょうね」
「ま、嘆いても仕方がない」
村に帰還して、開拓村でアルフォンスの依頼を受けている冒険者たちと情報のすり合わせを行う。この日、新しく分かったのは開拓村の冒険者の大半が、D級冒険者パーティーであること。そして――。
「やはり冒険者同士でも討伐数にバラつきがあるな」
「それの何がいけないのですか、師匠?」
「アルフォンス様は村を守るという目的があって、冒険者に依頼を出している。それは分かるよな?」
俺の隣で夕飯の支度をしながら、コクリと頷くクロエ。
今は夕暮れ時。開拓村の家々からはもくもくと湯気が上がり、近くではオレリアとアデライトが野菜の皮むきをしていた。
「――で、ここで問題になるのが依頼料だ。話を聞いたところ、彼らは同じ依頼料で依頼を受けているんだ」
「……? 同じ依頼を受けているのだから、依頼料が同じなのは当たり前ですよね?」
「ああ、Dランク冒険者向けの依頼料としては破格だから今はまだ大丈夫だけど、もしかしたら厄介なことになるかもしれないんだ――はい、頼んだよエリク」
意外なことに、エリクは料理が得意だった。
アデライトとオレリアが野菜の皮をむき、俺とクロエが採取ナイフで具材を切り分け、エリクとエミリアンが調理を行う。うん、完璧な役割分担だな。
数十分後、できあがった夕飯を食べながらクロエがおもむろに、さっきの話について尋ねてきた。
「そういえば師匠、先ほどは厄介なことになるとおっしゃっていましたが、どうなるとお考えなのでしょうか?」
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