02 告白

第4話

体育祭が終わり、日常生活が戻ってくる。


「あっ凛だ!おはよー」


高橋凛たかはしりんは同じクラスで小学校の頃から仲の良い友達。仲は良いけど、私は凛に恋愛相談などをしたことがなかった。


「二葉おはよー

今日からまた授業だねー。無理だわー」


「ねー集中できないわ」


集中できない理由は他にあるのだが、言葉にはしなかった。


「そういえば聞いて!

うち体育祭終わってから連絡先交換しちゃった!」


自転車置き場から校舎へ向かって歩き始めると、凛がキラキラした目で話しはじめた。


「誰と?」


「一緒に応援団やった日野くんと!」


「そうなんだ!私もこの土日で連絡取ったよ」


「え?二葉、日野くんの連絡先知ってたんだ!

なんだ〜じゃあ二葉に聞けば良かった〜」



あれからずっと日野くんとのラインは続いていた。


「相原先輩、今何してますか?」


「音楽聴きながら、ベットでごろごろしてた」


「ちなみに何の曲ですか?」


「〇〇〇〇の××××」


「え、それいいですよね!俺もよく聴くやつ!」


という具合に。


「ねぇ、ちょっと二葉聞いてる!?」


ラインの文面を思い出していたら、気が抜けていたようだ。


「あっごめん…」


「もー!二葉ったら!ひどい!」


「ごめんごめん、で、何て?」


「私ちょっと、日野くんいいなーって思ってるんだよね」


「えっそうなの!?いいじゃんいいじゃん!」


「でもさー連絡したけど、ある程度やりとりしたらもう返ってこなくなっちゃったんだよね…」


「え…」


「また送っても迷惑じゃないかな〜?」


あれ…私まだ日野くんとのライン続いてるのにな。


この時はまだこの違和感の正体に気づいていなかった。

 

すると突然、私の心を悩ますあいつの声がした。


「よっカッパ!!!」


驚いて振り向くと、崇人が友達と一緒に歩いていた。


「カッパ言うな!サル!」


「ははっじゃーなー」


と言って、だらだら歩く私たちをあっという間に追い抜いていく。


恐ろしいほどにいつも通りの絡み。


まるで、キスしたことなんて夢だったみたいな。 


「サル!」って言いながらも、あの日のことを思い出してドキドキしていたのは私だけなんだろうな、きっと。


遠くなる崇人の背中に向かって、「バーカ!」とおもいきり叫んだら少しだけスッキリした気がした。

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