第3話

家に帰ると薬箱から痒み止めだけ取って、自室へ駆け込んだ。


スマートフォンを確認するが、崇人からの連絡はないままだった。


蚊に刺されたところに一通り薬を塗ってから、ようやく先ほどのラインを返すことにした。


「あっ問題児の日野くんね!笑

体育祭楽しかったね!お疲れ様〜」


日野勝利ひのしょうりは、崇人と同じ一つ下の後輩。

体育祭で同じ青組応援団になったことで、仲良くなった。私の連絡先は、尾井川蓮おいかわれんという日野くんと同じ応援団の友達から聞いたらしい。


「はあー」

ベットに寝っ転がって、さっきの出来事を頭の中で繰り返す。


考えても、考えても、崇人の考えていることが分からない。


私はこの先も崇人を好きなままでいいのか。その先に幸せはあるのか。



ピロン


放り出されていたスマートフォンを慌てて手に取る。


先ほど登録したばかりの日野くんからのメッセージが画面に映し出されていた。


名前を見て、少しがっかりした。


あーやっぱり崇人からは連絡はないんだ。


今日のことも無かったことになるんだ。


その時、何故かそう確信した。


「俺ってそんな問題児でした?笑

体育祭めっちゃ楽しかったです!

青組応援団サイコーでした!」


何で今なんだろう。


何で、何で、日野くんなんだろう。


崇人とキスじゃなくて、こういうやりとりができたら、それで良かったのに…


日付が変わっても、崇人のからの連絡はないままだった。

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