第3話 なんで

「なるほど…異世界転生ですか」

「はい…気づいたらここに…」


 あの後、近くの喫茶店で事情を話すことにした。喫茶店までの道を歩いていて思った。やはり異世界だからか、そこら中の人々が魔法を利用して生活している。


「…私、父からこんな話を聞いたことがあります」


 現実世界に戻れる方法が聞けるかもしれない。そう思って青年の話を聞くことにした。


「この世界では別の世界で亡くなった者をここに転生させ、勇者にする。そして、勇者には悪の王を討伐してもらうと。」

「…は…?」


 別の世界で亡くなった者…?

 俺、あっちの世界で死んだってことか?

 そう考えたら冷や汗が全身から吹き出してきた。

 身体がベタベタして気持ち悪い。


「ですから、おそらくあなたは別の世界で亡くなってからこの世界に来たのでしょう」


 現実を受け止められない。

 死んだってことは、もうあの世界には戻れないのか?

 優しく、無償の愛をくれた母さんにも、一緒にいるだけで楽しかった友達にも会えない。

 嘘だ。こんなの嘘だよな。

 というか、なんで俺は死んだ?


「あの、名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「え、名前?」

「私の名前はトール・クローバーです」

「えっと…トールがファーストネーム?」

「はい」


 この世界では最初にファーストネームが来る。

 だから俺は…


「俺は…俺の名前はユウイチ・アカギです」

「ユウイチ…確かにこの世界ではあまり見かけない名前ですね」

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異世界に転生したらなぜか男に好かれるんですが? 混合酒 @tsumugitsumugi0720

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