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第15話
お風呂から上がって自分の部屋に戻ったら、部屋の真ん中で兄が寝ていた。
「んもー!お兄ちゃん、なんでうちの部屋で寝とるんね、もぅ!」
足先でつんつんと兄をつついたけど、兄は寝返りを打って、またイビキをかき始めた。点けっぱなしのテレビの中では、ハリウッド映画がちょうど終わるところだった。そういえば居間のテレビの前では、父がスポーツニュースを流したまま寝ていたっけ。
「…じゃけぇゆうて、乙女の部屋に勝手に入ってテレビ見て、挙げ句にガーガー寝るなんて、デリカシーなさ過ぎじゃ。こら、お兄ちゃん、起きんちゃいや、バカ!」
…そう言って、ふと、思い出した。
(『お兄ちゃんのバカ』…か)
そうだ…昔、そう言って兄を責めた。遠ざかる船の上で、兄は黙ってうつむいていたっけ…。
***
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