第17話 エルフ国・動乱篇 その3




 エルフの国を救うべく、西城結城と協力することになった俺たちは、城を目指して地下通路を進んでいた。


 「仲間が暴れだしたって召喚者の二人か?」

 「あぁ、彼女たちが操られているのは厄介だよ」

 賢者と聖女が敵になるなんて考えもしなかったな。 これって女たらしがなかったら、とんでもねぇことになってたんじゃないか?


 「それと……彼女は坂本くんの恋人なのかい?」

  西城はトモヤの腕に豊満な胸を押しつけながらくっついている姿に、少し気恥ずかしそうだった。


 「恋人じゃないんだけどな。少し前に助けてもらって仲間になったんだよ」

 「それにしては、その……スキンシップが激しいんだね」

  男子高校生にとってこれは刺激が強すぎるのはわかる。 だがな、俺の腕が離れないんだ!


 「お前だってあんな美少女たちと一緒に魔王退治してるんだ。 いい感じになってるんじゃないか?」

 「いやいや、僕と彼女たちはそういう関係じゃないよ。 ただの仲間だよ」

 俺の予想だとコイツは鈍感系主人公で、女たちの好意に気づいてないってパターンじゃないか?


 そんなこんなで、トモヤ一行は地下通路の奥へと進んでいくと、中心に石像がある広い部屋にたどり着いていた。


 「行き止まり……かな?」

 「ゲームだとあの石像が動いて、また通路があったりするんだけどな」

  だが、俺たちは石像を力いっぱい動かそうとしてもビクともしない。 魔法の類いか? さすがにここで行き止まりってことは考えにくいんだけどな。


 「くそっ!」



 ――俺が石像を蹴ると


 

 先ほどまで動かなかった石像は音を立てて動き、隠されていた階段が姿を現した。


 「これは!?」

 「やっぱりお約束通りか。 たぶんこの先が城に続いているんじゃねーか?」

  女を操っている色欲の性格からして、どうせ女王さま気分で城の大広間にいるだろうからな。 ここから気合入れねーと。


 「準備はいいか? 西城、レスティア」

 「あぁ」

「うん」

 何年も使われていないのか、ホコリが舞う階段を降りて、さらに奥へと進んでいくトモヤ一行。その先には何が待ち受けているのか。





 「ここは寝室かな?」

 「ずいぶん豪華な部屋ってことは、女王さまの部屋じゃねーか?」

 地下通路の先には扉があり、その扉を開くと王族が使用している寝室に繋がっていた。 おそらく寝室から地下通路で外に避難するためにつくられたのだろう。


 「ここからの作戦はどうする坂本くん?」

 「操られている奴らは俺に任せろ! お前は色欲をぶっ倒すことに集中してくれ」

 色欲の「魅了」と俺の「女たらし」は相性がいい。 だけど、それだけじゃ千日手になっちまう。

 攻撃は西城にまかせるしかないんだよな。


 「よっしゃ! 行くぞ!」

 「あぁ!」

 「うん」

  俺たちは勢いよく扉を出て、大広間を目指す。 見つかっても俺のスキルで対処が可能だしな。なんとか奴らに囲まれる前にたどり着かねーと!

 

 





次話の投稿は3月16日 朝8時00分です。 よろしくお願いします。


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