第7話 戦闘
新宿の闇に溶けるように、黒い影たちが包囲網を狭めていく。
屋根の上、路地の奥、物陰——。
十を優に超える殺気が、静かに斎藤たちを追い詰める。
斎藤は冷や汗を拭いながら苦笑した。
「……いやいや、いくらなんでも数が多すぎる……」
「ええ……それも、一人一人がかなりの実力者ね……」
四宮の声が震える。
神崎は静かに目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。
——その瞬間、最初の攻撃が始まった。
屋根の上から音もなく飛び降りてきた三人の影が、一斉に刃を振り下ろす。
神崎は目を開け、淡々と右手を軽く上げる。
ズドォォォン!!
空間が歪んだように、襲い掛かってきた三人は地面に叩きつけられ、その場で動きを止めた。
だが次の瞬間、間髪入れずに神崎の背後から二人の影が低く走り込み、鋭い刃を左右から同時に突き出される。
神崎はそのまま半歩後退し、流れるような動作で左手を振る。
影たちは突然の強烈な横風に吹き飛ばされ、壁に激突して崩れ落ちた。
「まだ来るぞ!」
斎藤が叫んだ直後、更に複数の影が屋根や路地から次々と飛び出し、攻撃を仕掛けてくる。
地を蹴り、壁を走り、屋根から跳ぶ。
すべての行動に意味がある。
タイミングを合わせた波状攻撃。
しかし神崎は表情一つ変えず、その場で静かに立ち続け、目だけを冷静に動かす。
敵が刃を振り下ろす直前、神崎の指先が微かに動いた。
瞬間、空気が重くなり、襲い掛かった影たちが地面へと叩きつけられる。
だが敵も攻撃をゆるめない。
次の瞬間には、背後から新たな敵が剣を振り抜く。
しかしその刃は神崎に触れる寸前、突然止まり、敵の体は宙に浮いたまま動けなくなる。
「っ……!?」
敵が突然の事態に驚く。
神崎が静かに右手を握りしめると、敵の身体が強烈な力で地面に叩きつけられた。
神崎の周囲には、次々と影が倒れこんでいく。
「な、何だこいつ……!? 化け物か……!?」
そこで初めて、敵が明確な焦りを見せる。
後ずさりし、攻撃の手をゆるめる。
そんな彼らに、神崎はただ静かな声で言った。
「次は誰だ?」
その瞬間、静かな足音が路地の奥から響いた。
そこから現れたのは、一人の男。
全身を黒いコートで覆い、顔を黒いフードで隠した、異様な雰囲気を纏う人物だった。
斎藤が息を飲む。
「……神崎気を付けろ! こいつはさっきまでの奴らとは明らかに違う……!」
神崎と男の視線が交差した瞬間、男の姿が消えた。
直後、鋭い刃が神崎の首筋を狙い疾走する。
神崎はわずかに体を傾け、刃を紙一重でかわす。
男は即座に体勢を立て直し、目にも留まらぬ速度で再度切り込む。
だが、神崎はそれさえも最小限の動作で避け続ける。
再び男が攻撃を仕掛けるが、神崎は指を弾き、見えない力場で刃を逸らす。
しかし男は止まらない。
路地の壁を蹴り、空中で回転しながら連続攻撃を繰り出す。
神崎は落ち着いた動作でそれを捌き続ける。
男が再び姿を消した次の瞬間、背後から神崎の背中目掛けて刃が走る。
神崎は瞬時に振り返り、掌を向けると、男が吹き飛ぶ。
だが、男は着地と同時に地を蹴り、再び神崎に迫る。
斎藤も四宮も目を離せず、ただその鮮烈な攻防を見守った。
男が一瞬の隙を突き、神崎の側面に鋭い一撃を放つが、神崎は淡々と身をかわし、そのまま男の動きを捉える。
「終わりだ」
直後、男の体が激しく地面へと叩きつけられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます