第2話 固有スキル「ガチャ」

異世界に飛び込んだ真生は、目の前の巨大な空間に立ち尽くしていた。暗い森が広がり、遠くでモンスターらしき影が動いている。周囲の空気はひんやりと冷たく、しかしそれ以上に圧倒される感覚が真生を包み込んでいた。


ステータスウィンドウが消えて、冷静になると


「ここは…一体どこだ?」と思う


真生は一歩踏み出すが、足が地面にしっかりと踏み込む感覚がなく、どこか不安定な気がした。その時、突然、脳内に声が響く。




真生は目を凝らしてステータスを見つめた。まるでゲームのキャラクターのように、数値が並んでいる。これは現実の世界ではあり得ないことだった。しかし、気づけば彼は、その不思議な感覚に引き寄せられていた。


「なんか、変な感じだな。ゲームみたいだ…」


そんなことを考えていると、また脳内に声が響く。


「固有スキル『ガチャ』が発動しました。」


「ガチャ?」


思わず真生はつぶやいた。何かを引くのだろうか、と思った瞬間、ウィンドウが再び変化し、目の前に『ガチャ』という文字が浮かんだ。


「うーん…これが『ガチャ』か?」


真生は少し躊躇いながらも、ガチャの文字をタップするかのように思い切って心の中で「ガチャ」と唱えた。


すると、目の前にガチャの画面が現れた。画面にはいくつかの種類が並んでいる。


スキルガチャ:必要ガチャポイント500

ステータスガチャ:必要ガチャポイント100

「こんなの、見たこともない…」


真生は思わず手を出しそうになるが、冷静に考えてみる。「スキルガチャ」と「ステータスガチャ」という選択肢がある。どちらから引こうか悩むが、直感で「スキルガチャ」を1回と「ステータスガチャ」を5回引くことに決めた。


ガチャの画面をタップすると、瞬間的にカプセルが回り始め、その後、紫色のカプセルがスロットに落ちてきた。


「これは…?」


紫色のカプセルが画面に現れると、画面が一瞬暗くなり、文字が現れた。


「スキルB級スキル『硬質化』LV.1を獲得しました。」


その文字が消えると同時に、再び新たなメッセージが現れる。


「筋肉+5、俊敏+3、体力+5、知能+2、筋肉+3」


「うおおおっ…!」


真生は思わず声を上げた。獲得したスキルと、能力値の上昇。彼の体内に力がみなぎるような感覚が広がった。その瞬間、身体の中で何かが変わるのを感じた。手がほんのり温かくなり、視界が鮮明になったような気がした。


「これは、すごい…!」


興奮している間もなく、突然、真生の視界に異変が起こった。草むらの中から、ふよふよとした物体が現れた。それは、青く光る体をしたスライムだった。見たこともないクリーチャーに、真生は驚きつつも、どうするべきか考える。


「やっぱり、戦うしかないのか…?」


彼は一瞬迷ったが、直感的に「硬質化」を使ってみることに決めた。


「『硬質化』!」


その瞬間、真生の体が硬直し、全身に鋼のような硬さが宿った。まるで皮膚が鉄のように強くなったようだ。スライムがその粘液を飛ばしてきたが、真生は何の痛みも感じず、それを全て防ぎきった。


「すげぇ…!」


硬質化のおかげで攻撃は全て防げ、次に彼はそのまま素手でスライムに向かっていった。スライムが飛び跳ねようとするのを、俊敏な動きで避けながら一撃を加える。今までのように頼りなかった自分の体が、まるで別人のように感じられた。


そして、しばらく戦った後、真生はついにスライムを倒すことに成功した。


「やった…!」


倒したスライムがぷるぷると震えながら消えていくと、真生はその場に立ち尽くし、勝利の余韻に浸っていた。しかし、ふと脳内にまた声が響く。


「レベルアップ!レベル2!」


「レベル2?!」


真生は驚き、すぐに目の前に表示されたステータスウィンドウを確認した。


――――――

ステータス

名前:久保田真生

レベル:2

筋肉:10

俊敏:6

体力:10

知能:4

幸運:1

――――――


「おお…筋肉や体力が増えたのか。すごい…!」


さらに、ステータスウィンドウの下部に新たなメッセージが表示された。


「ガチャポイント50を獲得しました。」


「ガチャgポイント…?」


その文字に目を丸くする真生。どうやら、レベルアップによってガチャポイントを獲得したらしい。次はこれを使って何か引けるのだろうか?そんなことを考えながら、彼は次の行動を決めようとしていた。


「あのスライム倒したくらいで、レベルアップ…この世界、やっぱりただ事じゃないな。」


真生は、新たに得た力を感じながら、もう一度周囲を見渡した。


「次は、もっと強いモンスターに挑んでみようかな…」


異世界の扉を抜けた真生の冒険は、ようやく始まったばかりだった。

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