第4話 ボンゴ村
何時間かかったんだろう。
フィリアを担いで歩き、やっとボンゴ村に到着する。
到着するとすぐ、ボンゴ村の住人が集まってきた。
集まってきた村のヤツらに事情を説明する。
弱ってるフィリアを見て、「どうした?大丈夫か?」とか言ってくると思っていたが、住人の反応は、その逆。
「おい、知らないヤツを連れて来んなよ」
「悪魔だったらどうするんだい?」
「綺麗な格好してるな。追放者なのか?……まさか天国の貴族とかじゃ無いだろうな?」
ボンゴ村の住人たちは、フィリアを心配するどころか、直接的では無いが、村から追い出せと間接的に圧をかけてくるのだった。
村に知らないヤツを入れたくないのはわかる。
でもこんな小さな女の子に対して、それはひどくないか?
クソ。こいつらは自分のことしか考えられないのかよ。
いいさ、俺がなんとかするから。
俺は住人たちの圧を跳ね除け、既にギムザが帰っているであろう自分の家に帰宅する。
「ギムザ、いるか?」
「おう、随分おそか……ってどうしたよ?」
女を背負って帰宅する俺を見て、ギムザは驚く。
俺はフィリアのことや村の住人から受けた仕打ちをギムザに説明する。
「……」
「どうしたんだ、黙り込んで?」
「はっきり言うぞ。この件はお前が悪い」
「は?お前まで何言ってんだよ、ギムザ!」
フィリアがここまで来た経緯を全部話した。
それなのに、俺を責める村の住人よりも、村にフィリアを連れ込んだ俺の方が悪いと言うではないか。
お前までそんなこと言うのかよ。
見損なったぞ、ギムザ!
いいだろ、別に食事を与えるぐらい。
この村は女の子1人に飯も食べさせられないぐらい困ってんのか?
違うよな?ただ保身に走っただけだろ!
俺はギムザやボンゴ村の住人に対して、
だがその怒りの感情を、俺と同様に、ギムザも剥き出しにしてくるとは思ってもいなかった。
「その子はギースの娘なんだよな」
「ああ、そうだけど。それが何だよ?」
「それを知ってて、連れてきたんだな?」
「だからそう言ってっ、ぐあぁ!?」
フィリアの正体を知ってて連れてきたと話した途端、ギムザは俺の顔に右の重たい1発をくらわせて来やがった。
右拳を突き出して、怖い顔をしているギムザ。
「何しやがんだ、ギムザ!」
久々にくらったギムザの右ストレートは、一瞬意識が飛んだかと思えるほど効いた。
俺はギムザを睨みつけるが、ギムザもまた俺を睨み返してくるのだ。
「お前……ボンゴ村の奴らのこと考えなかったのかよ」
「考えるって、何をだよ!」
俺にはギムザの行動が理解できない。
ボンゴ村の奴らを考えるってなんだよ。
食料のことか?それとも悪魔だったらどうするかってことか?
いいだろ、元々知らないヤツらで集まってできた村なんだしよ。
お前も元々はよそ者だっただろ!
「この村のヤツら、追放者の集まりじゃねーか。悪いことして天国追い出されてんだろ?女の子1人助けてやるぐらい出来るようになれや!」
俺は感極まって、ハッキリと思ったことを言った。
そうすればギムザも思っていることを言ってくれるもんだと思っていたが
「そうか……そうだな。……飯、作るわ」
ギムザは言い返すでも、怒って飛びかかって来るでもなく、ただしょんぼりした顔を俺に向け、黙って食事の準備を始める。
予想外の態度を示すギムザに、俺は追い打ちで暴言を吐く気が失せてしまった。
何でそんな顔をするのかわからないでいたが、今は食事の準備をしてくれてるから良しとして、俺はフィリアを自分の部屋のベッドに寝かせることにした。
それにしても何だったんだ、ギムザのヤツ。 急に殴りやがって。訳わかんねーよ!
俺はベッドのそばに置いてある椅子を怒りに任せ、思い切り蹴り上げる。
天井に当たった椅子はバンっと大きな音を立て、バラバラになり、姿を変えて床に落ちる。
その大きな音に反応し、寝ていたフィリアは目を覚ます。
「あれ……私……」
「おはよう、フィリア」
フィリアは目を覚ましたが、まだ体力が戻っていないだろう。かなり顔色が悪いな。
それに今のギムザとフィリアを会わせるのは少し気が引ける。
俺は台所に行き、ギムザが作る料理を自室に持ち帰り、フィリアに食べさせることにする。
「熱いか?フゥ〜、フゥ〜。ほれ、これならいけるか?」
「ねぇ、アデル」
「どうした?不味かったか?」
「いや……優しいのね。ありがとう」
「何だよ……どういたしまして」
子供の頃、体調崩した時に母さんがしてくれたことを見よう見まねでやっただけだ。
でも、ありがとうって。弱ってるからか?
さっきまでの威勢のいいフィリアでは無いな。
熱でもあるのだろうか……。
俺はフィリアのおでこに自分のおでこをくっつけて、熱の確認をする。
「な、何やってんの!私の顔に気安く触ってんじゃないわよ!」
「どぅふ!?」
急に怒り出したフィリアは、雨の神器を俺の腹に打ち込む。
俺は壁まで飛ばされ、背中を打ち付けた。
「クソ、熱はない。元気で何より、うぅ」
不意打ちでくらう神器には、流石に耐えられず、俺は体を床に伏せる。
フィリアは倒れてる俺を、顔を赤くして睨み続けるのであった。
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