第17話
でもなあ……まだ俺たちのこと認めてないんだろうなあ。ライちゃんにほだされただけで。とりあえずいつものように軽口を叩いとくか。
「なあ、ライちゃんめっちゃ可愛いな」
するとスラマは目を光らせた。
「当たり前だ。ライは生まれた時から美しく教養があり賢くて……」
そこから三十分ぐらい話し続けた。うん、聞いた俺が馬鹿だった。コイツは正真正銘のシスコンだ。
「分かったか?」
「あ、ああ……」
十分すぎるほど分かったよ。
「え、ええ……まあ……」
サヤさんも困ってる。ああ、なんで俺はシスコン野郎に妹の話題をしてしまったのだろう。馬鹿だ……
「え、えっと……あ、そうだ! スラマのお母さんって何やってんの?」
「ギルドの事務員」
「へ、へぇ~……そうなんだあ……」
会話が続かない! 次何を話せばいいんだよ⁉ アイラ、教えてぇ!
『うるさいわね。えっと、そうねえ……とりあえずいつも通りクエストでもやったら?』
そうだな。そうするか。その時サヤさんが耳打ちをしてきた。なんだ?
「ルーナさんのこと、忘れてませんよね……?」
……忘れてた。
とりあえずクエストをやることに。
「えっと? あ、またファイアーフロッグの討伐じゃん」
「では簡単ですね!」
「気持ち悪いけどな……」
俺は思い出す。あのヌメッとした舌に巻き取られ、口まで運ばれていく恐怖。
「今回は絶対に捕まらない!」
「え、何がですか?」
「あ、こっちの話!」
さっそく俺たちはクエストをしに出かける。すると森の中で三匹出てきた。
「お、俺が一匹を倒すから!」
「気を付けてください!」
全員で一匹を担当して倒していく。ていうかスラマ強すぎなんだよ! 何なのアレ! 俺が必死で戦ってるときにスラマは一瞬で倒して俺のことを見てため息つくの何なの⁉ 馬鹿にしてんのか!
『まだ終わってないのあなただけよ?』
うう……なんであの時スラマを倒せたんだろう……
『本気出したからでしょ? 今、本気じゃないからよ。さっさと本気出して』
いや、さっきからやってんだけど!
結局三十分以上戦ってやっと勝てた俺。今回は舌に捕まらなくてよかったあ。
「そういえばお二方はレベルは……?」
あ。確認してなかった。ていうか確認する必要ある? 俺、7になっても帰れねえよ。
「一応確認しとくか」
「そうですね!」
「ああ」
スラマのレベル8 俺のレベル5 サヤさんのレベル7。
俺だけレベル低い⁉ まだ7にさえなってない! しかもサヤさんから哀れみの目を向けれたんだが。俺ってまだまだ弱いんだなあ……
「げ、元気出してくださいよ!」
なあ、マックスってどれくらい……?
『レベル15』
ああ、100じゃないんだ……
『100レベルの人もたまにいるわよ。転生者とかがそう。まあ、無双ってやつ?』
そっか……俺、庶民選んだからか。冒険者になっちまってるけど。ていうか、転生者って俺の他にもいるんだな。
『これから頑張りなさいよね』
はい……まあ、とりあえずクエストはやれたし、いっか。
「とりあえずお金を稼がなくてはいけませんね。森の奥に行ってモンスターを倒しましょう!」
ああ、サヤさん……癒しだわ……
『気持ち悪。吐き気がするわ』
うるさいなあ! コイツ、オペレーターの機能果たしてないぞ。不良品じゃないか?
『失礼な!』
じゃあ仕事をちゃんとしろ! とりあえず森の中に入るか。ん? なんか物音がする? すると奥から山賊が出てくる。え、山賊⁉ え、ここ普通の森だよな⁉ 初心者用なのに⁉ スラマたちは気づいてないんだろうか。何も言わない。山賊のひとりがスラマの背後に近寄る。
「あ、危ない!」
俺はとっさにスラマの背後の山賊を殺す。あ、殺しちゃった……
「気付かなかった。なぜ分かった?」
「え、物音したから」
「……なぜ助けた。あんなにひどい態度をとったのに」
「友達だろ。友達だから助けた。大切な人には死んでほしくないからな」
それよりもスラマくん? 自分がひどい態度だって知っててやってたんですね? スラマは俺から目をそむける。
「……そうか」
……あれ、会話終わった⁉ 俺、なんか変なこと言ったかな? あ、もしかして友達って言われるのが嫌だったとか⁉
『結構いいこと言うじゃない』
そ、そうか?
「あ、えっと……もっと奥に行きましょうか!」
「ああ」
「そうだな! そうしよう!」
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