第18話
ゴツゴツした洞窟を歩く。かすかな水の音と自分の呼吸音、上から吹いてくる風の音。すべてが壁に当たり反響して、音が至る所から聞こえてくる。変わらない洞窟の中の景色と反響した音で、方向感覚も、どこから来たかもわからなくなってくる。洞窟はだんだんと下に降りていき、平らになってくる。岩肌は、自然のものとは思えないほどなめらかで、触っても痛くない。足元には薄っすらと光る小さな何かが同じ間隔で置いてある。そのまま進んでいくと微かに声が聞こえる。進んでいくと、声がぴたりとやむ。そのまましばらく歩いていくと、鉄扉のついたところに来る。
なんでこんなところに鉄扉あるの?
洞窟の中にある不自然な人工物。おかしい。鉄扉には窓がついていて、中の様子を見ることができる。そっと中を覗くが、誰もいない。鉄扉を開けてみる。ガチャっと音がして扉が開く。中に入ると、自然と扉が閉まり、小さくカチリと音がする。もう一度扉を開けようとするが、開かない。
「あ…出れなくなっちゃた…」
落ち着いて、辺りを見回す。大きな空間に、何個かまた鉄扉がある。鉄扉の奥はまた通路になっている。ここは最深部なのだろうか。
もしかして、さっき聞こえた声って此処の外?もしそうだとしたら、その声の人には会えないし、ここから出ることもできない。
…ほんとにどうしよ…。
「ねえ、ここでなーにしてるの?」
すぐそばで声がする。驚いて、声も出せずにしゃがんでしまう。
「うぇぇ!ごめん!そんな驚くと思ってなくって。大丈夫!?」
声の主もしゃがんで、顔を覗き込んでくる。そこには薄灰色の髪で黒い肌を持った男の子がいた。心配そうにのぞき込む顔は思っていたより顔に近く、鼻と鼻が当たりそうなほど近い距離で、それにも驚いて少し後ろに体をそらす。
「コッパ君。驚いてしまっているから、少し距離を取ろうか。」
男の子の後ろから低い声が聞こえる。男の後ろには、しゃがんでいる私よりもすこし高いくらいの背の人が立っていた。
「こいつ誰ー?ヒストはこいつのこと知ってんの?」
え、え!?誰?なんでここにいるの?誰?
「どうしましたか?…て、人間?なんで…?」
また人が出てくる。今度は私と同じくらいの背で、大きなとんがり帽子をかぶっている。
いきなり三人も出てきて、わからなくなってくる。頭が破裂しそうだ。
「あの…誰ですか。」
「私たちはずっと此処に閉じ込められていてね…。まあ、自己紹介よりも先に、隠れたらどうだい?君はばれると危ないと思うけど。」
会話に夢中で気が付かなかった。コツコツと誰かの足音が聞こえてくる。
どうしよう…。こんなに見渡しやすいところ、すぐに見つかってしまう。隠れられる場所は…。
上を見上げると、丁度私ぐらいの大きさの人間が隠れることができそうな穴のようなところを見つける。横に少し伸びているのか、手をかけることができそうなところがある。足にグッと力を入れて、爆発させるようなイメージで、一気に力を出し飛び上がる。手をかけて、その間の中に身を隠す。すぐに来ると思っていたのだが、それからまたしばらくしてからドアが開く、靴のコツコツと響く音しか聞くことができなかったが、もう一人、女の子が来ていた。女の子は背が高くて、茶色のような、くすんだ赤色のような色の服を着ている。長い髪を三つ編みにして、手にはジャラジャラと金色の腕輪をつけている。足には柔らかそうな同じ色の靴を履いていた。
「おい。ここに女の子は来たか?」
「いえ…。」
「そうか。チッ。また適当に投げやがったなあのクソロボットめ。No.006。探しておけ。」
「はい。了解しました。」
「…お前らまさか、匿ったりしてないよなぁ?」
「まさかそんな…。そんなことをしても、すぐにばれてしまいますよ。」
「ふん。わかっているならよいのだ。引き続き、おとなしくしていろよ。」
男の人たちがまた帰っていく。
下に降りると、小さい男の人が言った。
「お前に能力の正しい使い方を教えてあげよう。お荷物を抱えるのはごめんだよ。脱出予定日まで、あと10日だ。」
にっこりと笑うと、こちらに向き直る。まっすぐに、ほかの二人もじっとこちらを見つめている。
「それでは、はじめようか。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます