第5話 エロトレーニングをしよう!
「――い、おーい瀬川~」
近くから聞こえる詩織さんの声でハッとする。…視界はさっきと同じで真っ暗だ。
アイマスクを付けた状態で沙織さんの胸を持ち上げるように触ったが、独特の感触と彼女の色っぽい声を聞いて、頭が真っ白というかフリーズしてた…。
……今もその感触は手を通して伝わってるぞ。まだ触ってるみたいだ。
「どうしたの? 詩織さん?」
「どうしたの? じゃないって! あたしが声かけたり肩揺すっても全然反応しないんだもん。気になるじゃん」
「ごめん、ぼーっとしてた」
「今の状態でそうなるなら、普通に見ながら揉んだらどうなる訳…」
「鼻血出して倒れちゃうかもね♪」
昔の漫画じゃないんだから、さすがにそれはないでしょ。――多分。
「母さんトイレに行きたいらしいから、今はこれぐらいで良い?」
「もちろん」
僅かな時間だったと思うが、とんでもない経験だった。後でちゃんとお礼を言おう。
「トイレで着替えるから、入った後ならいつでも外して良いからね」
「わかりました」
俺が返事してから足音が遠くなっていき、どこかの扉の開閉音が聞こえた。
「外して良いよ」
詩織さんの許可をもらったので外す。……光が眩しいな~。
「瀬川があんなに純粋なんて思わなかった。あたしは瀬川のあそこを生で見ても堂々とする自信あるよ!」
「それ断言する事なの?」
「当然。エロでは友達にも負けたくないから!」
謎の自信だ。沙織さんも俺達ぐらいの歳はこんな風だったかも?
「瀬川が知ってるかはわからないけど、あたしが仲良くしてる満里奈ちゃんと紬ちゃんも結構下ネタ好きでね。数少ない同志よ!」
「? 満里奈ちゃん? 紬ちゃん?」
誰の事だ?
「…
「もちろん。今のクラスメートだからね」
この3人は普段から一緒にいる事が多かったっけ。まさかその繋がりが下ネタとは思わなかったけど。
「今度、あたし達と一緒にお昼食べない? 下ネタ慣れできると思うからさ」
そう言うって事は、食事中でも下ネタが出るようだ。それは気にしないんだが…。
「悩む話ね」
トイレに行った沙織さんがリビングに戻ってきた。
「何で?」
「わたしの胸を少し触った後に緊張して固まる、純粋な瀬川君のままでいて欲しい気がするからよ。もちろん詩織の言いたい事もわかるけどね」
「瀬川にはエロトレーニングが必要だって! 普通の男子はあれぐらいで動じないでしょ」
詩織さんに悪意はないとはいえ、そこまで言われると少し悔しいな。できれば普通のラインには到達したい。
「瀬川はどう思う? もちろん無理強いはしないよ」
詩織さんには情けないところを見られてばっかりだ。今の胸の件といい、下着屋の前といい…。男として汚名返上したいな。
「――俺が一緒で迷惑にならなければ、今度お邪魔するよ」
「決まりね」
そういえば、沙織さんにお礼を言わないと。後回しにすると忘れそうだ。
「沙織さん。さっきは胸を触らせていただき、ありがとうございました」
「気にしないで。わたしも男の子に初めて触ってもらったから新鮮だったわ」
「それで、重さはどう思った? 瀬川?」
「そうだね…。やっぱり重く感じたよ。見た目通りって感じだ」
巨乳は大変だと再認識した。
「でしょ? だからあたし達の基本の姿勢は『おっぱいの下で腕組み』よ」
言われてみれば、2人共してるな。ファミレスで聞いた通りだ。
「腕を組んでると印象が悪いのが困るのよね。瀬川君はわたし達の事情を知ってるから、遠慮なくする事にしたわ」
俺に気を許してるってことで良いんだよな? 当然悪い気はしない。
長居するのは悪いと思い帰ろうとしたところ、詩織さんに連絡先の交換を求められた。断る理由はないので応じたところ、何故か沙織さんも便乗してきた。
「詩織はうっかりしてるから、しっかり者の瀬川君に教えてもらう事があると思うの♪」なんて言われたら交換したくなるよな。
――そもそも、拒否する気は微塵もなかったが…。
2人と連絡先を交換した後、沙織さんの運転する車で俺の家の前まで送ってもらった。降りる際に「また遊びに来てね」と2人に言われ、俺は上機嫌で玄関の戸を開ける…。
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