自分の定年退職後のことをつい想像してしまいます。
旅行に行ったり、新しい趣味を始めたり。
みんな余生を楽しく過ごせるもんだと思っていたんですが、この作品を読んで考えさせられました。
「その人が向いた方向の可能性しか拓けることはないのだから、どっちでもいいのでどっちかを向いた方がいい」
という関谷くんの言葉も、救済のようで実は諦観のようにも思えてしまいます。。
読了後、タイトルが"明日の青虫"というところにも凄くセンスを感じました。
人間のサナギの期間はいつなのか。
死して天国に行く時が蝶になる時なのか…。
比喩や情景の描写もお洒落かつ丁寧で、こんな文章を書けるようになりたい、と思わせる大人っぽい物語でした。