第4話 施設設置と新スキル

 アルフィナが魔石を集め始めて、二日が経った。アルフィナは、執務室に籠り魔石の変換率を調べている。ひと段落したのかアルフィナに執務室に呼ばれる。


 「それで何か分かったの?」


 「そうだね。大体の事は調べ終わったかな?」


 アルフィナは、そう言いながら幾つかの魔石を取り出す。


 「まず、ゴブリンの魔石は、CP1の価値しかなかったね。でも、ボブゴブリンになればCP10の価値があった。これは、ゴブリンだけでなく他の魔物でも一緒だね」


 「ふむ。魔物の格が大切と言うことかのう?」


 「魔物の格?」


 俺の疑問にリリスが答える。


 「うむ!魔物は、一定の強さに到達すると存在進化する。これを格が上がるというのじゃ。全ての魔物に存在進化の可能性があるが、基本は存在進化しないのじゃ!」


 「リリスの言う通り格が大切だと思うよ。ただ、確証がある訳では無いんだ。だから、ダンジョンに行くのはどうだろう?」


 「成程のう!確かにダンジョンなら効率的じゃのう」


 「ダンジョンだと何か違うの?」


 「そうだね。ダンジョンでは、ダンジョンコアが破壊されない限り魔物が居なくなる事が無いんだ。それに階層毎に決まった魔物しか出て来ないからね」


 確かにそれならダンジョンに行くのが効率的だ。だけど、折角マイホームを手に入れたのだからスローライフを送りたい。


 ・・・アルフィナは、満足するまで調べる気だよな。どうしようかな?


 「取り敢えず施設設置をしてから考えたら良いんじゃないかな?」


 あー。これは、断れないな。だってアルフィナが期待した目でこっちを見てるからな。


 「はぁ。分かった先ずは、施設設置をしてみよう。でも、魔石は足りるの?」


 「ふふふ。こんな事もあろうかと用意してたんだよ」


 アルフィナは、手のひら大の魔石をごとりと机に置く。今までのゴブリンの魔石と比べたら大きさも輝きも違う。


 「これは、また凄い魔石だね」


 「うんうん。これは、ドラゴンの魔石だからねー」


 「もしかしてこの為に狩って来たの?」


 「いや、リリスを呼びに行く時喧嘩を売られたからサクッと倒しておいたんだ」


 アルフィナにとってドラゴンも片手間で倒せる程の魔物なのか。南無。きっとそのドラゴンも、片手間で倒されるとは思っていなかっただろう。


 アルフィナから魔石を受け取り早速操作パネルを開く。



 『ファイアードラゴンの魔石をCPに変換しますか?』


 イエスをポチッと押す。操作パネルに魔石が吸い込まれポイントに変換される。現在のCPは1000ポイントだ。


 早速施設設置を選択し、訓練場を選ぶ。


 『訓練場を設置する場所を選んでください。』


 マイホームの全体図が表示され、選択出来る箇所が幾つか表示される。庭を選択する。


 『CPを1000消費し訓練場を設置しますか?』


 イエスをポチッと押すとゴゴゴと音が鳴り庭に訓練場が現れる。


 アルフィナとリリスを連れ訓練場を見に行く。



 訓練場 レベル1


 英霊を模したゴーレムを召喚出来る。経験値補正あり。ダメージを一定以上受けると結界の外に弾き出される。訓練場にいる限り『不死』になる。訓練場では、痛みが軽減され、訓練終了後怪我も完全回復される。訓練場レベルは、個人で適用されレベル1から10まで存在する。下のレベルをクリアすると上のレベルが解放される。レベル10クリアでユニークスキル『覇者』を得られる。


 凄い。正に訓練場に相応しい効果だ。それにユニークスキルを得る事が出来るみたいだ。あれ?アルフィナの話だとユニークスキルは、後から習得出来ない筈だよな?


 「これは・・・またとんでもないね。ユニークスキルを習得出来るなんて僕も、聞いた事がないよ。これは、是非試してみないとね」


 うん。これもアルフィナに任せよう。俺は、パスだな。その内使ってみるよ。・・・本当だよ?


 「英霊とは、楽しそうじゃのう。妾もやってみるのじゃ!!」


 あのー。リリスさん。魔力が溢れ出ているんですが!!ストップ!ストーップ!!魔力の放出で周囲が歪んでいるんですが!!リリスが慌てて魔力を抑える。日頃は、子供っぽいがやはり竜王だ。・・・くれぐれも周りを破壊しないでくれよ。後でアルフィナに結界を張って貰おう。


 訓練場にリリスを残し、アルフィナと残りの場所を探索する。訓練場の事は、後でリリスから聞こう。


 追加された場所は残り二つ。一つは、新たに寝室が追加された。これで寝る場所が増えた。アルフィナとリリスに寝室を使って貰おう。そして遂に風呂が追加された。今までは、クリアの魔法で凌いでいたがやはり日本人としては、風呂に入りたい。


 風呂 レベル1


 疲労回復、健康促進、美肌効果があるお湯。常に適温が維持される。汚れ防止付き

風呂の広さは、レベルに依存する。


 今は、まだ小さい風呂場だがいずれ広い風呂場になるだろう。これは、是非ともレベル上げを頑張らなければ。


 リリスは、訓練場でレベル3までクリアしたそうだ。リリスの強さでレベル3って俺ならレベル1もクリア出来ないだろう。


 「訓練場は良いのう。妾も久しぶりに全力で戦えたのじゃ!!英霊召喚をせずとも訓練だけに使う事も出来るのじゃ!!妾の全力でも破壊出来ない結界もあるから安心じゃの!!」


 リリスさん?何が安心なんですかね?まさかこれから訓練場でストレス発散なんてしませんよね?ハハハ。まさかね?・・・うん。考えない様にしよう。まあ、ストレス発散出来る場所があるのは、良い事だ。


 「それでユータは、ダンジョンに行くか決めたのかい?」


 「うん。決めた。折角異世界に来たんだから色んな場所に行ってみるのも楽しそうだな。でも、俺は弱いから何かあったら頼むよ」


 「うん。僕に任せて。ユータの事はしっかり守るからね」


 「妾もじゃ!!じゃが、家から離れたらプリンが食べれないのは残念じゃのう」


 リリスが悲しそうに俯く。マイホームは色々チートだが、マイホームから離れたらそれらは使えない・・・。事もない。マイホームのレベルアップで新たなスキルを獲得したのだ。



 家守悠太 25歳 レベル3


 魔力  D


 力   F


 素早さ E


 回復  F


 賢さ  B


 器用さ E


 スキル


 異世界言語


 鑑定


 マイホーム(ユニーク)

  ・施設召喚

  ・拠点間転移

  ・仮拠点設置


 称号


 迷い人


 賢者の友人


 竜王の友人



 新たに手に入れたスキルの施設召喚は、マイホームにある物や施設を一定時間召喚できるスキルだ。これを使えば、マイホームにいなくてもマイホームのチート能力を使える。


 「良かったのじゃ!!これでプリン食べ放題なのじゃ!!」


 食べ放題・・・。まあ最近は、人数分以上のプリンが出てるから良いけど・・・。何故かプリンしか出ないけど。リリスが夜冷蔵庫で何かしていたけどまさかね?うん偶然だ。偶然。


 「残りのスキルは、どんな効果なのかな?」


 仮拠点は、一時的に拠点を設置出来る。拠点には、マイホームの結界を張ることができる。


 拠点間転移は、マイホームと仮拠点で転移可能。人数を指定すれば複数での転移も可能。


 「成程。それにしてもユニークスキルの中に複数のスキルがあるとは・・・。やっぱりユータは面白いよ」



 ドン!!と爆発音を立て魔法が弾ける。リリスがアルフィナの魔法を殴る。


 「ぬははは。効かぬのじゃ!!次は、妾から行くのじゃ!!」


 掛け声と共に体を屈めると矢のようにアルフィナに肉薄する。アルフィナのボディに当たる。そう確信したがアルフィナの姿が霧のように掻き消える。


 「ふふふ。それは、僕であって僕ではないよ」


 消えたと思ったアルフィナは、リリスの後ろで魔法を展開していた。


 「サウザンドアイシクル」


 幾つもの氷の塊がリリスを襲う。ドドドと音を立て終わる事のない氷の雨が降り注ぐ。ピキピキと音を立て周囲の空気が凍る。漸く魔法が終わる。辺りには、幾つもの氷柱が立っている。


 「効かぬのじゃー!!」


 あれだけの攻撃を受けてもピンピンしているリリス。流石竜王。アルフィナも困った様に笑っている。うん。もうね笑うしかない。だって先から同じ展開が続いている。リリスの攻撃はアルフィナに当たらず、アルフィナの攻撃はリリスにダメージを与えられない。お互い決定打がない。


 「ユータもやるのじゃ!!」


 いや、無理だよ。死ぬよ!!やめてそんな期待した目で見ないで。こうなれば奥の手だ。


 「リリス。おやつにしよう」


 「プリンか!!直ぐ行くのじゃ!!」


 バタバタと訓練場からリリスが出てくる。ふう。リリスが単純で良かった。


 アルフィナ。やれやれみたいな顔をしているが君も結構単純だよ?


 まあ、意識が別の所に向いたので良しとしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る