第5話 アルフィナとリリス
「それじゃあ僕は、出かけてくるよ」
ヒラヒラと手を振りながらアルフィナが森に向かう。マイホームの影響で周囲に魔力が満ちているらしくその変化を調べている。
「妾は、訓練場に行ってくるのじゃ!!」
いつもの様にリリスは、訓練場に向かう。レベル5で躓いているらしくアルフィナと戦略を練っていた。
そう言えば、リリスの戦いをまだ見ていない。一緒に訓練場に向かう。勿論俺は、戦わない。
「でけーー」
レベル5の英霊は、山の見間違う程巨大なドラゴンだ。いや、あれ倒せるの?無理でしょ。えっいける、やれると。本当に?
「うむ!!あれは、始祖様じゃ」
ぐにー。と体を伸ばしながら始祖竜に向き合う。
「ふぁ!!」
やべ!!変な声が出た。でも仕方ない。あの始祖竜のステータスは、異常だ。
始祖竜 レベル2000
魔力 SS
力 SSS
素早さ S
回復 SS
賢さ S
器用さ SS
スキル
狂化(力・魔力100%アップ 賢さ・回復50%ダウン)
高速再生
物理耐性(大)
魔法耐性(極)
原初魔法(全)
覇王の咆哮(ユニーク)
人化(魔力・力・素早さ5%ダウン 器用さ10%アップ)
竜化
称号
覇王
竜神
調停者(多種族に対するダメージアップ)
鑑定の習熟度が上がったのかより詳しい内容が見える様になった。流石は始祖竜。圧倒的ステータスだな。実際に出会ったら逃げる事すら出来ないな。
リリスのステータスも見ておくか。
リリス レベル1480
魔力 SSS
力 SSS
素早さ A
回復 S
賢さ C
器用さ C
スキル
人化
竜化
竜王の意地(特殊)
劫火(封印中・賢さS以上で使用可能)
物理魔法(ユニーク)
・自身の物理攻撃が魔法・物理両方の性質を持つ
・遠近関係なく物理攻撃を当てる事が出来る
プリン覚醒
・プリンを食べた後一時間の間前ステータス50%アップ
炎無効
物理耐性(極)
称号
竜王
破壊者
脳筋。リリスのステータスを見て感じた事だ。魔力と力以外は、始祖竜の方が圧倒的に強い。これに勝てるのか?リリスは自信がありそうだったが・・・。
物理魔法とは何だ?物理と魔法どっち何だろうか?
「何変な顔してんるだい?」
俺の顔を覗き込んでいるアルフィナにビックリして思わず仰け反る。
「うわぁー!!」
まだ心臓がバクバク音を立てている。リリスのステータスに夢中で気づかなかった。
「リリスのステータスを確認していたんだ。アルフィナは、物理魔法って知ってる?」
「ああ。リリスの魔法だね。僕も詳しくは知らないね」
「リリスは、始祖竜に勝てるのか?」
「勝てると思うよ。僕も訓練場は何度か使ったけど、あくまでも英霊のゴーレムだからね」
成程。ゴーレムだからか・・・。
「あれ?アルフィナ確か森に行ったんじゃなかった?」
「ふふふ。ユータが寂しがっているかと思ってね」
「あー。はいはい。寂しかったよ」
「ぶー。君はもっと素直になるべきだと思うな」
不満顔のアルフィナから目を逸らし、リリスを見る。
ちょうど始祖竜との闘いが始まる所だ。
開始早々、始祖竜はブレスを放つ。ゴッという音と共に黒い光がリリスに向かう。
「ぬおーーー!!効かぬのじゃ!!」
腕を交差させ正面からブレスを受け止める。
「次は、妾の番なのじゃ!!」
掛け声と共にリリスは、走り出す。始祖竜の巨体の下に入り込むと思い切り殴る。
ズズン。と始祖竜の体が後退する。あの巨体に素手でダメージを与えるリリスは、やっぱり規格外だ。
その後も終始リリスが始祖竜を圧倒する。成程。これがアルフィナが言っていた事か。ステータス的には、始祖竜の方が強い。だが、ドラゴンは空を飛んでこそ真の実力が発揮される。始祖竜は、大きすぎるのだ。決まった範囲内では、動きが制限される。対してリリスは、人型で闘っている。
「まあ、こうなるよな」
始祖竜も強かったが戦闘慣れしていなかったのが敗因か。まあ、訓練だしな。
「次は、僕の番だね」
おおー。アルフィナもやるのか。頑張れー。いや、俺はやらないよ?幾らゴーレムだと言っても単純に強い。それを圧倒出来る二人が規格外なだけだからね!!
「ユータ!!妾の闘い見ておったか?」
「うん。凄かった。やっぱり竜王って強いんだな」
「当然じゃ!!」
ドヤ顔で胸を張るリリスが不覚にも可愛く見える。いやいや、俺はロリコンでは決してない・・・と思う。まあ、リリスも美少女ではあるが・・・。
「ふむ。次はアルフィナかの?彼奴も強いからのう」
「そう言えばリリスとアルフィナは、知り合いなんだよね?」
「うむ。昔、彼奴とは、殺りあった仲じゃ。人間にしては、強くてのう。勝敗がつかなかったのじゃ」
リリスと引き分けるってアルフィナも相当強いんだな。いやー、この二人が話が分かる人達で良かった。もし、転移した後に敵対していたら・・・。考えただけでも恐ろしい。・・・早めに図書室を設置しよう。リリスは、プリンを渡しておけば大丈夫かな?異世界のお菓子は、沢山あるんだけどなー。リリスがそれに気付かないように祈っておこう。
「うむ!やはりプリンは美味いのう!!」
あー。大丈夫だ。こいつは気付かない。それよりもリリスさんや。いつプリンを持って来たのかね?君ずっとここにいたよね?
「仕方ないのう。一つだけじゃぞ!!」
苦渋の決断。みたいな顔をしてプリンを差し出されても・・・。まあ貰うけどね。貰えるものは貰う主義だからね。
アルフィナの準備が整った様で、訓練場にゴーレムが現れる。アルフィナもリリスと同じくレベル5みたいだ。
しかし、召喚されたゴーレムは、リリスの時とは違う様だ。
「リリスとアルフィナで召喚されるゴーレムが違うのか?」
「うむ!!訓練場は、人によって召喚されるゴーレムが変わるみたいじゃ!!」
成程。なら、俺はどんな相手になるんだろうか?興味はあるしいずれやってみようかなー?とか思わないからな!!安全第一
訓練場では、アルフィナとゴーレムが向き合う。アルフィナの相手は、ヒョロっとしたお爺さんだ。うーん?あんまり強そうには見えないけどなー。
「ふむ。あれは確か、人間の英雄ではなかったかのう?」
「リリスは、あの人を知ってるの?」
「昔のう一度だけ闘った事があるだけじゃ。彼奴はやり難い」
うわー。凄く嫌そうな顔をしてる。リリスがここまで言うって事は、かなりの実力者なのかな?
オルベール・オウガスト レベル2000
魔力 S
力 B
素早さ A
回復 A
賢さ S
器用さ S
スキル
魔法糸(ユニーク)
・魔力を糸に変換できる
鑑定
未来予知(小)
号令(ユニーク)
・無生物を操作出来る
称号
死の将軍
「ステータス的には、あまり強そうでは、無いけどな?」
「うむ!!純粋な強さでは、アルフィナの方が何倍も上じゃ!!しかし、奴の強さは、そのスキルじゃ!!」
「魔法糸と号令?」
「魔法糸は、魔力で糸を作り出すのじゃ!!問題は、その強度じゃな。魔力を込めれば込める程強靭になる。そして元々魔力出来た糸じゃからのう。見え難いのじゃ!!動き回れば、いつの間にか彼奴の糸が周りに仕掛けられておる。一つ一つが妾の体を傷付ける糸じゃ」
「次に号令じゃが、これが最も厄介じゃな。例えば地面に対して『割れろ』と言えば、割れるのじゃ!!まるで意思を持った生物の様に彼奴の号令に従うのじゃ!!まあ、大きい物や重い物を動かすには、多少の時間がかかるがのう」
確かにユニークスキルは、かなり強いな。それこそ一人で戦況をひっくり返せるぐらいには・・・。一対多で最もその強さを発揮するのだろう。
アルフィナ レベル1300
魔力 SS
力 A
素早さ S
回復 A
賢さ SSS
器用さ SS
スキル
鑑定
アナライズ
並列思考(ユニーク)
魔法耐性(極)
魔力回復速度上昇(大)
魔力ストック(ユニーク)
魔力ブースト(ユニーク)
・ストックされた魔力を消費して威力(魔法・物理)を上げる。消費する魔力量により威力が異なる
称号
破滅の魔女
魔法の探究者
大賢者
リリスもやばかったがアルフィナはそれ以上にやばいな。アルフィナは、魔法を同時に幾つも使えるから・・・。うん。滅ぶね。そりゃ破滅の魔女と呼ばれるわけだ。
「アルフィナは、勝てるのかな?」
「余裕じゃのう。彼奴を倒す方法はただ一つ、魔法を使われる前に瞬殺する事だけじゃ!!」
それは、実質倒せないのでは?あれ?リリスは、昔アルフィナと殺りあった筈だよね?その時は、どうしたの?
「妾は、魔法を殴れるからのう。魔法は、殴れば消えるのじゃ!!」
それが出来るのは、リリスぐらいじゃないかなー。『こうやるのじゃ!!』と見せられても俺には出来ないよ!!
取り敢えずアルフィナの戦闘に集中しよう。オルベール・オウガストは、英雄らしいから街に行けば伝承があるかもしれない。訓練場で出てくる人の伝承を調べるのも面白いかもなー。
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