第44話 ギヨームが語る
そもそも彼らガーディアンは地球ではないこの星の出身であった。何をしたのかは知らないが、ほとんどお
「そんでよ、ちょうどもう地球がヤベえってことになっててよ、だったらいい場所があるぜっ、てこの星の位置を教えたのがエルンストだったのさ。どう地球がヤベえのかは興味なかったから忘れちまったが、その当時の世界の頭脳として活躍していたイシスも星を捨てる選択をしていたようだぜ。そんときの地球の技術でこの星にぎりぎりいけるかどうかだったみたいだが、まあ
それであの方舟っていう宇宙船か……。その頃の世界人口がどうだったかは分からないが、すべてを救うのは不可能なのは俺にでも分かる。それでアリエッタの言っていたくじ引きなのか。そしてくじに落選した人びとは電脳化という名の安楽死によって最期を迎えた。でもその抽選自体を拒否して地球とともに最後の日を過ごした人たちのほうが数は多かったようだ。
「まあ、昔はこっちで悪いことばっかしてた俺達だけどよ。少年の父上が俺達に人類の力になって欲しいって、このガーディアンっていう職を与えてくれたんだわ。もちろんイシスが暴走しておかしくなることはご両親は予測していたな。だから女神の破壊も頼まれたんだ。そうそう、この星に到着したときはほんと地獄だったぜ。第一便と二便は現地の安全確保のための軍人中心の構成だったんだが、現地民相手にこっちの兵器が通用しなくって全滅さ。俺達の最終便が着いて、結局俺達ガーディアンが主導で戦ったんだ。魔法が使えねえと無理だったってことだ。昔は地球の科学に似た魔法の文明が進んでいたんだが、何があったか知らねえが、そんなもんは無くなってて純粋な地球で言うところの『剣と魔法の世界』さ。この星にも人類に近い種がいたんだがすべて
「ま、魔王さま?」
「ああ、エルンストな。あいつは追放された後も改心なんてしちゃいねえ、ずっと戻ってこの星に復讐することを考えてたのさ。まあ、そんなこんなで、苦労はしたが大陸の東の地域はなんとか確保できた。もちろん魔王さまは次に向けて動くわな。で、そこに立ち
これでもギヨームさんはかなり
「それじゃあ、倒すのは無理? 倒したとしても次はエル兄が……。そもそも女神さまを倒す必要なんてあるんですか?」
「それはな……。俺は帝国でも諜報活動やってたからよく分かるんだが、なあ、お嬢……」
ここまで何も言わずにじっと黙って聞いていたシルビアさんに彼は話を振る。
「帝国にはもう自国を支える力は残ってはいないのだ。すべては女神イシスの決定により政治は動かされる。他国への侵攻も内政もすべてだ。以前は上手くいっていたのだ。国民のほとんどを占めるのが自らが生み出したミメーシスたちだからな。すべての情報は女神が把握し、分析し、最善だと思われる指示を出す。父は、皇帝であるといっても自分で決断をしたことはない。そのイシスが最近は、極端な施策を打ち出し続けて国の財政は
「教会は?」
「連中は利益を吸い上げることにしか興味はない。生活の基盤となる魔道具については技術も販売もすべて押さえているからな。国家という形をどこもとってはいるが、実際は程度の差はあるが教会の植民地のようなものだ。教会の総本山のある帝国ですら、その程度にしか見られてはいない。だから、私は教皇をこの手にかけた。だが、じきに新たな人間がトップに用意されるのだろうがな」
「帝国の人たちが立ち上がるということは?」
「ないな。そう大半の者が作られているようだ。女神には反抗できぬようにな」
「それじゃ、ここは女神さまにとって都合のよい世界……」
「そうだぜ、少年。あのイシスが
「どちらが勝っても、未来は明るくはないのかも……」
「だな」
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