第9話 崩壊の前兆

――――湖桃の家


「湖桃ーー!高橋君が迎えに来てくださったわよ。」

私は学校に行くつもりはなかったんです。

でも、大地君が来てくれたので、慌てて用意をして、玄関に行きました。

「大地君、迎えに来てくれたんだ♡」

私は、嬉しかったんです。

浩平でさえ、迎えに来てくれたことはなかったから...

「おまえ、ほっとくと、学校サボっただろ。」

「約束だからな。おまえを守ってやるっていうのは。」


――――学校


――――3年10組


私が大地君と一緒に登校したのを見たときの、みんなの驚いた顔が快感でした。

みんな口々にいろんなこと言ってたけど、大地君がドサッを大きな音をたててカバンを置くと、みんながしずかになりました。

大地君ってすごいんだ♡

浩平は私と目も合わせませんでした。

でも、私には大地君がいる♡

休み時間も人目を気にすることなく、私を守ってくれてました。

私は、大地君のことを彼氏のようにおもってしまったんです。

それが悲劇の始まりだったのかも知れません。


――――放課後


「俺は応援団の練習があるから、ひとりで、ちゃんと帰れよ。」

って大地君には言われたんだけど、私は、一緒に帰りたくって、応援団が練習している小松公園まで行きました。


――――小松公園


「大地君、そろそろ終わるころだって思って来ちゃった。」

間髪入れずに浅倉さんが私にこう言いました。

「池田さん、練習の邪魔だから、ひとりで帰ってくれない。」

それに気が付いた大地君も冷たく言ってきました。

「湖桃、一緒に帰れないって言っただろ!」

「おまえのこと守ってやるとは言ったが、付き合う気はない!」

私は一瞬息が出来なくなりました。

一緒にいた愛里ちゃんが大地君を叩いて怒ってくれました。

「二人がどんな約束したか知らないけど、大勢の人前で言っていいことと悪いことがあるでしょ!」

私は思わず愛里ちゃんに抱きついてしまいました。

そんな私に、大地君は、腹を立てたのでしょう。

大地君は、私から愛里ちゃんを引き離し、応援団の練習も途中で終わらせ、愛里ちゃんを連れて学校へ戻っていきかけました。

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