第18話
「……ありがとう、ヴィアンナ。足を下ろしていいよ」
落ち着きを取り戻した伯爵は立ち上がり部屋の明かりを灯す。
ロウソクはもうドロドロに溶けてすっかり短くなっていた。ふっと息を吹きかけて火を消す動作に、さっきまでの伯爵を思い出してまた熱くなる。
あたしは言われた通り足を下ろし、テーブルから立ち上がる。
「ああ……今夜もまた良い夢を見られそうだよ。本当に貴女に出会えて良かった」
「……そりゃどうも」
「それでは、また明日。おやすみヴィアンナ。良い夢を」
「ああ……おやすみ」
伯爵が部屋を出て行く。
ドアを閉める前にまたあたしを振り返って微笑む。
あたしがそれにひらひら手を振り返すと、彼はまた嬉しそうに微笑んでドアを閉める。
────意識して立っていないと、崩れそうだった。
だからパタンとドアが閉じる音がした途端、あたしはその場に膝から崩れ落ちた。
膝に力が入らない。
身体が熱くて、熱くて、たまらない。
身体の奥が、疼いて、疼いて、────切ない。
ここ最近起きた変化。それは彼が間近にまで迫ってあたしを眺めるようになったこと。
そうなってから、事が終わると持て余した熱をどうにもできなくてもどかしい気持ちに襲われていた。
もう毎日これが続いている。
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