第27話

「ふふっ、本当にイイコね。──いらっしゃい、特別に私へ口づけることを許してあげるわ」


 欲情の色に塗れた女の声が耳を撫でる。


 ──ああ、なんて不愉快。

 蕁麻疹が出そうなくらいの不快感を、萎えそうな偽りの火に焚べて僕は喜びの表情を被る。


 僕は、絶炎の二つ名を持つ美しき魔女フレイフィアの下僕なのだから。

 どんなことでも忠実に実行しなければならない。

 例え寒気がするような行為でも。

 ──命惜しさだけではなく、僕の目的のために喜んで受け入れる。

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