第6話 ずっと好きだった

俺も何かを言おうとした。でも、喉が詰まったみたいに、言葉が出てこなかった。


華乃の言葉が頭の中で何度も反響する。


――「ずっと好きだった」


そんなこと、一度も気づかなかった。


俺はずっと、華乃を「特別だ」と思っていた。でも、それを口にするのが怖かった。中学を卒業して、別々の高校に進んで、少しずつ距離ができて――そうやって、華乃との関係もいつか薄れていくんじゃないかって、どこかで諦めていた。


でも、華乃は違った。


「……なんで、今さら……」


やっとの思いで出た言葉は、それだった。


俺は自分の声が少し震えているのを感じた。華乃は一瞬、寂しそうな顔をした。でもすぐに、小さく微笑んだ。


「今さら、じゃないよ。ずっと、好きだったの。」


もう一度、はっきりとそう言われた。


俺は息をのんだ。


そして――もう、逃げられないと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る