第4話

何が起きたのか咄嗟に理解できなかった。




ただ

眼前に広がった男の人の顔を見つめる。




艶やかな濡れ羽色の髪と対照的に真っ白な肌。

きれいに通った鼻梁に形のいい唇。

冷たい印象の切れ長の目のなかには

ビー玉のように澄んだ黒より藍色に近い瞳。



カッコいいより

きれいが似合う顔立ちだけど

日常まず見ないレベルの美形だった。





こんな状況であっても

思わず見とれてしまうほどに。





「あきらの口から

 別の男の名前は聞きたくないな」





男の人はその端正な顔に

薄く笑みを浮かべて言った。


その瞬間、体が凍りつく。




だって、この人は今。





「どーして…何で、ユキちゃんが

 男だってわかったの?

 それに……今、私の名前、」

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