第2話 フラグ立ったね

日頃すれ違うライダーたちと

随分と違うものが近づいてきた。


「ぶっっ!!!」

口に含んだコーヒーを、思わず吹き出しそうになる。


いつもと違う違和感は

バイクに積まれた沢山の荷物と

長い髪をバタバタと旗めかせた小柄なバイク主の

容貌ようぼうにあった。


しかも、思うよりも駐車場に近づいて来るのが遅い。


「フェイスマスクに

ダサいドクロが付いてるぞ・・・」


ついつい気になってしまい、目が離せなくなった聖夜。


気になる物体は、ぐらつきながらも

聖夜の愛機の隣に駐車をし、

ユックリと聖夜の方に顔を向け、挨拶をした。


「こんばんぶわっ」


女性のライダーだった。


日頃、聖夜は女性に対してはシビアな目を持っている。

肩書を狙う女性からのアプローチに、飽き飽きしていたからだ。


バイク乗り達は、他人であっても、妙な連帯感を持っている。


すれ違う時に、ハンドサインを、しあったりもする。


その妙な連帯感と共に

積載量せきさいりょう大丈夫?」と思う程の荷物と

ダサさ、さらに 真夜中に

バイク乗りとしては少ない、女性ライダーという

インパクトが、警戒心けいかいしんをブッ飛ばしていた。


「こんばんわ!凄い荷物ですねぇ・・・」


「ええ、まあ・・・はは」

手短に答えつつ

バイクから降りようとする女性の

ロングブーツに当たった。


小さな荷物が、コロンと一つ落ちた。


つい、手が出てしまい、拾った荷物を手渡す聖夜。


「ありぶぁとござぶぁす」

そう聞こえた。


どうやらダサいフェイスマスクに口を取られ

うまく言えなかったようだ。


慌てながらメットとフェイスマスクを外し、

ちょっと照れながらも、

彼女はもう一度、礼を言った。


「はは!どう致しまして!落ちない様にしなきゃだね」


「はい~・・・」

「重ね重ねスイマセン・・」

モサモサと荷物をくくり付け始めた。


「さて、旅路きろを急ぐ前に、タバコでも吸うか」

長居するつもりもないので、

飲み終わったコーヒーの缶を、捨てに行くついでに

野外設置の喫煙所に向かう聖夜。


タバコの煙を、ゆっくりと吹かしながら

「喫煙者の肩身が、どんどんと狭くなるなぁ」

などと考えていると

喫煙所の扉が開く。


「あっ」

「あっ」


お互いに声が出た。










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