第12章 警告 第1部
僕らのヒーローたちは夏をのんびり待ってるけど、何か悪いことが起こるんじゃないかって感じだよね。
クジョがドアをノックして、シロの部屋に入ってくる。
「よお、忙しくないか?」
シロは彼の声を聞いてなかった。窓際の机に座って、ヘッドホンを耳に当てて、ランプの光の下で紙に何かを書いてた。
クジョは静かに、そっと後ろから近づく。好奇心が抑えきれなかった。シロが書いてたのは楽譜だった。すると突然、シロが振り返って、クジョをビックリさせた。
「おわっ!」
シロがヘッドホンを外して、無言でクジョを見つめる。
「俺、えっと…ノックしたんだけどさ…」クジョが自信なさげに言う。
「何か用?」
「うん、ボウリングに一緒に行かないかって誘おうと思ってさ。どう?」
「でも俺、ボウリングなんてやったことないよ…」
クジョがニヤッと笑う。
「大丈夫だって、俺が教えてやるよ。」
シロの目に興味の光がちらつく。
ボウリング場「ハッピードルフィン」
クジョがプロっぽくボールを投げて、ピンがまるでトランプの家みたいに全部倒れる。テレビの画面で勝ち誇ったメロディーが流れて、電子音声が叫ぶ:
「ストライク!!!」
シロは感心した目でクジョを見る。クジョは腕を組んで勝ち誇ったようにニヤつき、顔には「俺ってすげえだろ」って感じの生意気な笑みが浮かんでた。
クジョが首を振って、「やってみる?」って感じで合図する。
シロが挑戦を引き受ける。ボールを手に持って、じっくり見る。鮮やかな赤で、ピカピカしてて、つるつるした表面に指用の穴が3つ空いてる。シロはまるでスナイパーみたいに狙いを定める。さっきのピンがまたきれいに並んでる。
一——腕を引く。
二——体を前に出す。
三——投げる…
完璧な命中!!!
ピンが子供のおもちゃみたいにバラバラに飛び散る。画面でまた勝ち誇ったメロディーが鳴り響き、電子音声がさらに大げさに結果を叫ぶ。
クジョが驚いて目を見開いて笑う:
「うわっ、マジかよ! すげえ投げっぷり! 本当に初めてかよ?」
シロは何も言わず、ただ満足げにニヤッと笑う。
自分が負けたと悟ったクジョは、リベンジを決意。ゆっくりボールを持って、ピンに背を向けて、足の間から投げる準備をする。シロが驚いて眉を上げる。クジョは自信満々に「見てろよ!」って感じでシロを見る。
投げる!
シロがすぐにピンの方を見る…でも何も起こらない。またクジョの方を見ると、彼は中腰で痛みと恐怖と困惑が入り混じった表情で立ってる。
周りが一瞬にして静まり返る。ボールの中にはベトベトの噛み潰したガムが入ってて、それがクジョの指にくっついてた。ボールは見事に股間を直撃。
クジョが床に倒れる前に、キンキン声で叫ぶ:
「くそぉぉ…」
ボウリング場の管理人が急いで近づいてきて、状況を把握しようとする。
「何だ!? どうしたんだ!?」管理人がシロに聞く。
「俺…俺、分からないよ!」
クジョがボールがくっついた手をゆっくり上げる。管理人が目を丸くする:
「何だこれ!? ガムどこから出てきたんだ!? クロ、すぐ犯人探せ!!!」
後ろにいたスタッフが慌てて警備室に走る。管理人は両手を合わせて拝むみたいにし、前かがみになって早口でまくし立てる:
「すみませんすみません本当にすみませんでした!!!」
クジョは少し落ち着いてきて、ボールを外し、管理人を安心させようとする。
「だ、大丈夫だよ。俺平気だから。」
「犯人を見つけて罰します! どうにかお詫びさせてください。バーで使える無料ドリンク券とかどうですか?」
「それって給料から引かれないよね?」
「全然! これは年間の達成報酬で出る券なんで。」
「じゃあ、いいよ。ありがとう! どこで5つ星つけてやればいい?」
「ハッピードルフィン」のバー
シロが心配そうに聞く:
「大丈夫? どこか痛い?」
クジョが笑いながら:
「だ、大丈夫…だと思う、クハハ…こんな印象残したくなかったけどな。」
「いや、俺楽しかったよ。短かったけど。」
「マジで楽しかった?」
「うん。このゲーム、射的場みたいだね。ただ投げるものが違うだけ。」
「クヘッ、面白いな…射的場で何投げてたの? まさかステファンのハゲ頭じゃないよな?」
「アハハ、いや。小さい鋼鉄の玉とか手榴弾とか。」
「おお、かっこいいじゃん。」
二人は笑い合う。
一分ほど沈黙した後、シロが突然聞く:
「なあ、ステファンとどうやって知り合ったの?」
「おおお、それは長い話だよ。簡単に言うと、あのハゲ野郎は俺の同級生で、席が隣だったんだ。みんな俺たちを『陰と陽』って呼んでた。」
「君らの出自をからかってたってこと?」
「そんな感じ。でも俺、気にしないよ。」
クジョが一口飲む。
「ステファンは金持ちの家の子だったけど、運命に逆らって普通の学校に通って友達を作ろうとしたんだ。俺は貧乏人で、朝飯は卵一個とチーズパンだけだった。」
「お金借りたりしたの?」
「まさか。そんなの嫌だったよ。俺たち、紙幣のために友達になったわけじゃないし。」
「ステファンってずっとああいう感じだった?」
「頑固でエネルギッシュかって? うん。ハゲかって? いや。ある任務で髪を失ってから、彼の中に冷たさが住み着いたんだ。」
「冷たさ?」
「うん。彼はパイロットなんだ。ある作戦で船が墜落して、ステファンは行方不明になって、傷ついて…その時に目の傷も負ったんだ。」
「パイロット? 想像もつかなかった…」
クジョが頷く。
「まあ、ステファンの話ばっかしててもな。マリはどう?」
「マリはもう自分のこと話してくれたよ…」
「うーん…悲しい話だな。」
「君の両親は生きてるの?」
「うん、ママとパパがいて、弟と妹も何人かいるよ。」
「弟と妹?」
「みんなくそみそに義理の家族だよ…」
シロが驚く。
「本当の両親はどこに?」
「知らないよ、兄弟。会ったことないんだ。ママが言うには、俺が赤ちゃんの時に家の前に捨てられてたらしい。」
シロが黙る。
「くそ…なあ、俺たち偶然出会ったみたいだけど、なんか偶然じゃない気がするんだ…」
(パラレル空間のフードをかぶった謎の人物が茶を飲んでてむせる。)
クジョが怪しげに:
「お前、何を言ってんだ?」
「ほら、俺たちの出会いって運命みたいじゃない? 気づかない? マリとステファンがフードをかぶった男の話してたじゃん。何か怪しいよ…」
(フードをかぶった謎の人物:「お前どこからそんな頭いいこと思いつくんだ? やばい、話が変な方向に行っちゃってる!!!」)
数メートル離れたところでバーテンがシャンパンを開けてたけど、手元が狂って、コルクがクジョの顔に直撃。鈍い音を立ててコルクがシロのマグカップに跳ね返り、彼の服に液体がかかる。
二人同時に叫ぶ。一人は小さく、一人は大きく:
「くそっ!」
バーテンが近づいてきて:
「すみませんでした! どうお詫びしましょうか?」
クジョが笑いながら:「うーん、どうかな…甘いもの何かある? なんか甘いものが欲しい気分なんだ。」
「了解しました、すぐお持ちします!」
一分後、二人の前に背の高い円筒形のグラス(コリンズ)が置かれる。中にはミルクドリンクが入ってて、ホイップクリームが乗ってる。一つはキャラメルシロップ、もう一つはイチゴシロップ。
クジョが感動して:
「うわっ! 面白いね! 俺がイチゴ好きってどうやって分かったの?」
シロも乗っかって:
「俺がキャラメル好きって?」
バーテンが神秘的な笑みを浮かべて:
「勘です! 愛するお客様のためにね。」
クジョ:
「ありがとう、兄弟!」
「おいしく飲んでね!」
クジョがミルクシェイクを飲みながらシロに振り返る:
「で、何の話してたっけ?」
シロが思い出そうとするけど、記憶が消えたみたい:
「くそ、忘れちまった。」
「まあ、いいや! 飲み終えたら帰ろうぜ! ついでに何か買ってこう。」クジョがマリとステファンを意識して言う。
シロは同意するけど、何か大事なことを忘れた気がしてモヤモヤする。
後で
マリが興味津々に:
「どこ行ってたの? ちょっと消えてたよね、二人とも。」
クジョがテンション高く:
「今日、ボウリング場行ってきたんだ! んでさ、シロが初めてなのにすげえ上手かった! 一発目でストライクだぜ!」
ステファンがノートパソコンで競馬見てて:
「そりゃいいけど、俺のケーブル買ってきてくれたか?」
クジョが固まって、がっかりした声で:
「忘れた、ごめん。」
「まあいいや…何か飲み物くらい持ってきてくれたか? 喉がサハラ砂漠みたいになってんだよ。」
「うん、それだけじゃないぜ!」クジョがスナックの入った袋を指す。
ステファンが笑顔で:
「おお! それなら話は別だな、二人とも!」
マリが非難するように:
「おい、豚野郎! 夕飯忘れてないよね? サハラだってさ!」
「まあ、マリぃ…」
「まず味噌汁だよ、そんでから飲む! 空腹で飲むやつなんかいねえよ!」
「クヘッ、まあお前はそこのプロだもんな。」
マリが母親みたいに近づいて、ステファンのハゲ頭をペチンと叩く。
ステファンとみんなが大笑いする。
マリも一緒に笑って:
「よし、みんなテーブルに着け!」
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