第3話


「あっ…」

そんなむなしい俺の声は夕焼け色の空に消えていった。

友達と走り去っていく彼女を俺は茫然と見ているだけだった。

「拓真、どうしたの?」

隣にいる蓮が話しかけてくる。

「別に。どうもしてないけど。」

「ほんとに拓真ってポーカーフェイスだよね。」

「どこが?」

「好きな人の前でも顔変わんないじゃん。」

俺はドキッとした。だれにも好きな人について話していないのに…

「蓮が変わりすぎなの。バレバレだよ?蓮の好きな人。」

「誰にも言ってないのに?」

「うん。啓介とかも気づいてるんじゃない?」

「今日あったら聞いておこ。でさ、拓真、好きな人いるの認めたよね?」

「いつ?」

「さっき。否定しなかったもんね。」

「いないと言ったら嘘になる。けど、まだ好きかはわからない。」

そんなのウソ。好きだってこと自分が一番わかってる。

「誰?」

「仕事ができて、みんなの前にたてる人。」

「へぇ、その様子だと嘘ではないみたいだね。あの拓真がね。女子苦手で恋愛に興味がないのにモテモテの拓真にねぇ。」

「お前は自分がモテてることに自覚がないのか。」

「ないよ~。にしても拓真、めっちゃ知ってるね。」

「普段、話さないからな…その分観察してる。」

「自分のことは気づかないくせに…」

蓮と歩きながら考える。俺の好きな人、入学当初からずっと片思いしてる人がいるらしくて。かなわないと思いながら、どこかで期待しているんだ。

————ポンポン

誰かに肩をたたかれる。もしや、と思い顔を上げる。

結人だった。一瞬期待してしまった俺がバカだったな。

「なに。急に暗い顔して。そんなに俺のこと嫌い?」

「暗い顔なんてしてないし。」

そんな他愛もない話をしていたら駅に着く。

駅で女子が群がってる中にあの人を見つけ、ドキッとする。

動揺がバレないように顔を背け、場所を移動する。

「ねえ、あんなかっこいい人いる?マジで生きててよかった。」

耳をふさいでも入ってきてしまうあの声に胸が痛む。

あんなまぶしい笑顔で言われたら…諦めざるを得なかった。

気づかないうちに目で追いかけていたのだろうか。

「拓真の好きな人はあの中にいるんだねぇ~」

「はぁ!?/え、マジ?」

蓮の問いかけに俺と結人の声が重なる。

「ちょっと待って。拓真って好きな人いんの?」

「え、結人知らなかったの!?」

お前も、さっきまで知らなかっただろ…

「拓真って恋愛に興味なさそうじゃん。」

「確かに。俺が知ったのも10分前だし。」

「じゃあ同レベルじゃん。俺ら。」

「一緒にしないでもらえる?」

これは収集つかないからほっておくか。

「で、あの中にいるかだけ教えて!お願い!」

「…電車来たから乗るぞ」

「教えてくんないの?」

しつこいな、蓮は。しょうがない。

「……ぃる」

「何?なんて言ったの?」

蓮…聞こえてたよね?

「で、結局いるのいないの?」

話についてきていなかった結人が再び質問してくる。

「ご想像にお任せします。じゃ、俺今日用事あるから失礼します。」

遅れたら、めちゃくちゃ怒られるから早くいかなきゃ…

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