第2話 人員不足と仕事が積の山(・・・だった)

 『これより、2050年度 私立大炭寺学園院しりつおおたんじがくえんいん始業式しぎょうしき入学式にゅうがくしきを始めます。司会進行は放送部ほうそうぶ部長の高等部3年・清水しみず蔦枝つたえが務めさせていただきます。それではまず、学園長先生と理事長よりご挨拶あいさつをお願いします。』

 学園ホールにて始業式がいよいよ始まり、学園長がくえんちょう理事長りじちょう挨拶あいさつが始まった。

私と匠くんはステージ横からその様子を見ながら話していた。

「いよいよ始まったな、始業式&入学式。ホール到着はギリギリだったけど、間に合ってよかったよな、麻由実まゆみちゃん。」

「そうだね、たくみくん。この後はいよいよ出番かあ~。少し緊張してきたかも…。」

大丈夫だいじょうぶだって! 麻由実ちゃんならできるって、俺、信じてるから! 麻由実ちゃんの場合、ステージに立つのは慣れてるだろ?」

「そうなんだけど…、この場合は音楽番組に出演するのと全然違うからさ…。その…、なんと言うか…、うまく言えないんだけどさ…。空気が違うって感じ?」

「弱気なこと言っちゃダメだよ! ほら深呼吸して。」

「う、うん。」

匠くんに言われるがまま、私はゆっくりと深呼吸した。おかげで少しリラックスできたような気がする。

「ありがと、匠くん。」

「いいって、麻由実ちゃん。」

『学園長先生・理事長先生、ありがとうございました。続いて、今年度の生徒会長よりご挨拶をお願いします。』

「あっ、次、麻由実ちゃんの出番みたいだな。頑張れよ! ちゃんと見てるから。」

「うん、行ってくる。」

匠くんと会話を交わした後、私はステージの壇上に立ち、話始めた。

(大丈夫、大丈夫! やればできる、頑張がんばれ私!)


 「えー、在校生の皆さん、進級おめでとうございます。そして、新入生はご入学おめでとうございます。今年度よりこの学院に編入へんにゅうしてきた高等部こうとうぶ普通科ふつうか2年生の大炭寺麻由実おおたんじまゆみと言います。校則第4条に乗っ取り、今年度の第109期生徒会執行部せいとかいしっこうぶにて生徒会長を務めさせて頂くことになりました。よろしくお願いします。」

 簡単かんたんな挨拶で場を温め、お辞儀じぎして一度前を向くと芸能人かつ理事長の孫である私の登場に驚いている者もいれば、普通に受け入れている生徒の姿がちらほら見えた。まあ、当然の反応だよね。いきなり現れた生徒会長が今人気絶頂のアイドルだなんて。

 「今の反応で驚いている人も多いと思いますが、さわがずそのまま私の話を聞いて頂けたら幸いです。先ほど言った通り、私はまだ編入してきて分からないことが多い未熟者です。例年だと生徒会長と生徒会役員は選挙で決まると聞きました。しかし、今年は少しイレギュラーな形からのスタートとなります。なので、生徒会役員は私の目で見極めた生徒を生徒会役員として加入させる方向でいこうと思います。また、目安箱めやすばこを設置し、皆さんから集まった相談や困り事を解決できれば思っています。私からは以上になります。ご静聴せいちょう、ありがとうございました。」

そう言って、私はステージを後にした。


 『ありがとうございました。それにしても驚きましたね。今年の生徒会長がなんていまだに信じられません…。あっ、失礼しました。新生徒会長については後ほど新聞部しんぶんぶの特集記事で詳しく深堀ふかぼりするそうです。では、改めて次に移りたいと思います。』

 嵐を呼んだ始業式&入学式はこの後も順調じゅんちょうに進み、無事に終了をむかえた。その後、私と匠くんは始業式後に私のスマホに送られてきたおじいちゃんからのメールで生徒会長室せいとかいちょうしつに行くように言われ、生徒会長室に向かったのだが、そこで私達が見たのは大量の仕事(書類)の山だった…。


 「こ、これは…、また。」

「ああ…。見ての通り、たくさんまっているな…。」

予想以上に溜まっている仕事の山を見ながら唖然あぜんしていると、またおじいちゃんからメールが送られてきた。

「…おじいちゃんからメールだ。…今送られてきた内容、少し長いな…。」

「だったら声に出して読んでみたらどうだ?」

「そうだね。それじゃあ、さっそく…。」

匠くんに言われ、私はおじいちゃんからのメールを読み始めた。


 『追伸ついしんじゃ。言い忘れておったのじゃが、生徒会執行部せいとかいしっこうぶの人数のことを言うのを忘れておった…。スマン…。学院の他の部活動同様、最低でも5人集まらないと例え生徒会でも活動が認められないから心しておくようにな。だから期限をつけることにした。』

 「はあ!? 指定人数していにんずうとかあるなんて聞いてないんですけど!! そういうことは最初に言っておくべきでしょうが! ねえ、匠くん?」

「まあ、落ち着いてよ麻由実ちゃん…。まだ続きあるみたいだから読まないと。逆ギレしてる場合じゃないよ。」

「…う。そうだね…。じゃあ続き読むよ。」

匠くんに咎められ、おじいちゃんからのメールの続きを読むのを再開した。

 『期限は一学期終業式の夕方までじゃ。高等部の生徒はもちろん、中等部の生徒でも構わん。それと、生徒会長室においてある大量の仕事の山は昨年度の生徒会のやり残しじゃ。押し付ける形になってしまうが、処理ヨロシク(^▽^) By.玄冬』

 「…だってさ。…我慢がまん限界げんかいすでえてそうだけど、大丈夫か? 麻由実ちゃん?」  

「…大丈夫? これが、大丈夫で、たまる、ものですか~~!!」

(で、ですよね~。)

我慢の限界を越えた私はいか心頭しんとうの様子で地団駄じだんだしながらそう言った。

「…匠くん。今からこの仕事、マッハで片付けるよ!!」

「ええ!? 今から?」

「当たり前でしょ? さっ、さっさと片付けておじいちゃんをぶんなぐるよ!」

「…りょ、了解。(今回の件は明らかに押し付けた理事長が悪いけど、麻由実ちゃんのパンチって音速を越えるから少し可哀相かわいそうな気もするけど、まあ、いいか。)」

 その後、私と匠くんは仕事の山をほぼすべて片付け、波乱はらん幕開まくあけで始まった一学期の始まりはまくを閉じた。ちなみにおじいちゃんはうちに帰宅後、ねていた私に匠くんに言った通り、ぶん殴られたのは言うまでもなかったのだった…。


                              To be continued…





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