最後の午後の陽だまり
雪沢 凛
1
午後の陽ざしが窓から差し込み、木の床を優しく照らしていた。
チャチャはベランダの小さなクッションの上で丸くなり、ぬくもりを感じていた。
ここ数日、体が重くなり、歩くだけでも疲れる。
それでも、やっぱりここにいたかった。
生まれてからずっと過ごしたこの場所で、大切なあの子と一緒に。
少し離れたところで、彼女がしゃがみ込み、古い写真を整理していた。
足元には分厚い写真の束。
「これ……あのときの?」
彼女がぽつりとつぶやき、指先で一枚の写真をそっとなぞった。
チャチャは目を開ける。
写真には、小さな女の子が拾ったばかりの子猫を抱えて笑っていた。
覚えている。あの日、彼女は自分を箱から抱き上げ、嬉しそうに言った。
「今日から、あなたは私の家族だよ!」
――幸せだった。あのときも、ずっと。
チャチャは小さくて、しっぽすら追えなかった。
けれど、その温かな手は、ずっとそばにあった。
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