2025年11月22日「史上最強の新聞記者について語る」

 どうも、名無之です。

 皆さんは「立松和博」という新聞記者をご存知でしょうか。


 戦後初期に活躍した読売新聞の記者です。


 新聞なんて今でこそ「オールドメディア」と揶揄されていますが、当時はテレビも普及していなかった時代。新聞こそが人々が情報を受け取れる最先端のメディアでした。


 そこで立松は、戦後初期最大の汚職事件と言われる「昭和疑獄」の特大スクープを連発します。


 スクープの内容に入る前に、「昭和疑獄」について知らない方も多いと思うので、簡単に解説しましょう。


 別名「昭和電工事件」とも呼ばれる事件ですが、当時は戦後間もないこともあって政府から復興融資を得ることができました。その融資を不正に受け取ろうと昭和電工(現在のレゾナック)社長・日野原節三が政治家や政府高官に賄賂を渡していたという事件です。その額は一説では当時の金額で約1億円(現在の価値で約90億円)といわれ、ロッキード事件やリクルート事件と並ぶほどの贈収賄事件として知られています。




 さて、そんな昭和疑獄を立松はどのようにスクープしたかというと、なんと彼は地検特捜部が逮捕する前に賄賂を受け取った政治家の名前を実名で報道したんです。


 これは、いま考えてもとんでもないことです。


 言うなれば、村上春樹の新作小説が発売される前日に、印刷会社の人が原稿データをネットにばら撒くようなもの。検察のメンツは丸潰れになり、下手すれば犯人に逃亡される恐れもあります。


 それを彼はやってのけたんです。




 しかも、入社3年目で!!




 立松和博という人間の恐ろしさがお分かりいただけたでしょうか。


 しかし、どうやって立松はトクダネを手に入れることができたのでしょうか。


 実は彼は知名度がそこまで高くないということもあり、確たる学術的根拠があるわけではないので、なんとも言えませんが、どうやら彼は——


 地検特捜部に内通者を作っていた、と言われています。


 彼はその内通者から情報を聞き出し、スクープを放っていたというのです。


 なんかスパイ映画みたいでかっこいいですね笑




 しかし、そんな彼の栄光も長くは続きません。


 彼は検察の派閥闘争に巻き込まれて失職。ついには、記者生命を断たれてしまいます。この事件を契機にスター記者はいなくなり、組織優先のマスコミ社会が始まったとも言われています。




 ここら辺の内情を詳しく語っているのが伊藤智義作の「栄光なき天才たち」ですので、もし興味がある方は読んでみてください。


 なにを隠そう、ぼくもこの「栄光なき天才たち」を幼い頃に読んで彼のことを知りました。親が新聞記者だったこともあり、スクープを連発する彼がヒーローのように映ったことを今でも覚えています。




 大人になり、彼をモチーフにした小説を書くことに決めて読み返してみると、「あれ? 意外と大したことないのか?」と幻滅するところもあったのですが、それでも幼心に感じた憧憬をありありと描こうと筆をとった次第です。


 結果、なぜか相方の女刑事が主役になってしまったのですが苦笑(ちなみに、彼女は手塚治虫の「七色いんこ」に登場する千里万里子がモチーフになっています)。二人のデコボココンビが社会の巨悪に立ち向かう、カートゥーンチックなハードボイルド小説が書けたかな、と思います。




「絶対、逮捕してやるんだからぁ!」が昨日、無事に完結しました。


 エピソード0ということで、二人の出会いを描いています。本編は考えていますが、すぐに書くかどうかは……。


 ぶっちゃけた話、この話が伸びるかどうかで決めようと思います。


 どんな物語も面白いと思ってくれる人がいる、というのがぼくの考えです。しかし、活動しているプラットフォームで受け入れられるかどうかも重要だと思っています。でないと、せっかく書いたのに読まれない、なんて悲劇が起こりますからね。


 気になった方はぜひ読んでいただいて、続きを読みたいな、と思った方はお星様をパラパラさせてください。


 リンクはこちらに貼っておきます。


 https://kakuyomu.jp/works/822139839094053961




 というわけで、今日は史上最強の新聞記者についてお話ししました。

 皆さんにとって意外性のある「史上最強の〇〇」はありますか?

 もしよければ、コメントで教えてください。


 それでは、また。


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