第三話 武器販売の是非を問う
未来の世界においては、銃の規制法がさらに強化され、一般の店での民間人への販売は原則禁止されていた。そのため、どうしても銃を手にしたい人々は闇取引に走るようになった。
ある武器の貸出店をひとりの男が訪れた。よほど、のっぴきならない理由がない限り、一般人との取り引きはできないと店員は説明する。
「長年連れ添った大切な人を裏切った、愚かな人間を消すためなので」
男は強い口調でそう訴えた。
「なるほど、不貞への制裁ですか。よくある話だ」
店員は慣れた手つきでタブレット端末に承認コードを打ち込みながら、同情とも嘲笑ともつかない表情を浮かべた。
上官との相談の結果、闇の貸出人は条件付きで承諾し、一丁の銃をその男に手渡した。
「弾丸は一発だけ装填されています。失敗は許されませんよ」
男はその冷たい感触を掌で確かめると、愛おしそうに、あるいは忌々しそうに懐へしまい込んだ。その客は丁寧に一礼すると、店から出ていった。
数人の見届け人がその客の後をつけていくことになった。男は宿泊中のホテルに戻ると、先ほど自分の手で絞殺したばかりの愛人の遺体の前に立ち、迷いなく己の胸を撃ち抜いた。後に付きまとってきていた貸出店のスタッフたちによって、使用された銃は即座に回収されたという。
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