第8話〜私の貴族の恋愛事情2〜
「リシア、ここにいたのか。会いたかったよ。」
リシアの隣に座っているクリスを見て
「クリストファーも一緒だったのか?」
「はい、殿下。さっきまで私たち二人で話がありましたの。」
クリスが、軽く頭を下げて
「王子殿下、ご機嫌麗しゅうございます。」
「そうか。二人でどんな話をしていたのか気になるな。」
「ただの世間話ですよ。私も彼も一応伯爵家なので、お互いの家の近況などをですわ。」
クリスが、慎重に言葉を添える。
「あ、そうそう。うちの両親がバーネット家にお邪魔したいと言っていたのを思い出しました。リシアお嬢様にお伝えしなければと思いまして。」
王子が、少し表情が硬くなりながら
「バーネット家に?いつ?」
「」日取りが決まり次第、正式にお知らせする予定です。バーネット家と我が家の親密度を上げるための訪問ですからね。もちろん、リシア嬢との婚約についても話し合うでしょうね?。私達は伯爵家です。それなりの家柄の者たちとの婚姻をうちの両親は望んでいると思いますよ。」
「君の両親がそう思っているとしても、僕がリシアの心を得られれば、その必要はなくなるだろうね。そうだろう、リシア?」
「え…え、えっと……殿下、まだ早いと思いますわ……」
「はは、そうかい?それなら私が急ぎすぎたかな。まだ僕への気持ちが芽生えていないということだね?」
「そのようなことは……ただ、状況が少し急だと思っただけですわ。」
「そうだね。でも忘れないでほしいのは、僕が君を手に入れるためにどんな努力も惜しまないということを。僕の愛しいリシア。」
クリスは王子の言葉に何も言わず、リシアの反応を窺っている。リシアはクリスの様子をちらりと伺いながら、慎重に言葉を続ける。
「あ、あの、殿下……このような時間ですし。もう帰宅してもよろしいでしょうか?私は……まだ、婚姻など考えておりませんし……けどいずれは家の為にするのかと思います。その時まで………待てませんか?」
「君がそう言うなら仕方がないね。僕は君が準備できるまで待とう。でも覚えておいて。僕は他の男には君を渡さないということを。さあ、遅くなったから帰らせるかな?。馬車を用意させよう。」
王子は席を立ち、リシアに手を差し伸べる。
「ありがとうございます、殿下」
手を取って立ち上がりながら
「クリス、先に帰っていてくださいませ。殿下と少しお話ししてから帰りますわ。」
「かしこまりました、リシア嬢。お気をつけて。では、私はこれで失礼します。」
軽く頭を下げて、先に部屋を出て行く。
クリスが部屋を出ると、王子はリシアを見つめながら真剣な声で言う。
「リシア。君が考えているよりも状況は切迫しているんだ。」
「それはどういう意味ですの?」
「もう噂が広まっているんだよ。君と僕が婚約するってね。だから僕以外の男が君を手に入れようと策略を練っているんだ。うちの国の貴族の中で、君ほど素晴らしい女性はいないからね。僕は君を守りたいんだ、リシア。」
リシアは戸惑った表情で
「本当ですの……?でも……私は…私はまだ誰とも結婚する気はありません…!」
「わかっている。でも時間の問題だよ。うちの両親も、君のお父上も、みんな既に婚約の話で動いているんだ。君の意思よりも家門の利益を優先するだろうね。」
「そ、そんな… …では…私はどうすればいいんですか…?」
「だから僕が言っているじゃないか、僕と結婚しようって。そうすれば君は僕の保護の下に置かれることになる。どんな男も君に手出しできなくなるんだ。君を守ることができるんだよ、リシア。」
目を伏せて考え込んでいたリシアが、慎重に口を開く。
「 ………殿下、私は………まだ心に決めた方がおりませんの。ですので、まずはお友達として過ごしてみて、それから考えてもよろしいでしょうか?」
「友達として?」
一瞬戸惑ったような表情を見せるが、すぐに笑顔で
「そうか、それくらいであれば構わないよ。君が心を開くまで、ゆっくり待つとしよう。」
安堵のため息をつきながら微笑む。
「 ありがとうございます、殿下。では、これからはお友達として、よろしくお願いいたしますわ。」
王子とリシアはその後しばらく会話を交わした後、王宮を後にする。
リシアは馬車に乗って家路につく。屋敷に到着すると、メイドたちが彼女を出迎える。
「おかえりなさいませ、お嬢様!」
馬車から降りながら、軽く挨拶をする。
「ただいま戻りました。今夜は少し疲れているので、お休みしますわ。」
メイドたちは頷きながら答える。
「はい、お嬢様。お疲れのようでしたら、どうぞゆっくりお休みください。」
自室に戻ったリシアは、ドレスを着替えてベッドに横たわる。いつも着ている服に着替え終わったあと、目を閉じると、考える。
「やはり……家の為に結婚しなくちゃいけないか……それにしても……クリス、私に惚れてたのか……王子にも惚れられてるし、まだ結婚は早いと思うけど……まあ、決まったら……、うん、奥さんとして頑張ろうって感じですわね……」
そう考えていると、眠くなってきたので、リシアは眠ることに決めたのであった。
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