第15話

 私はサー・ガレン、あるいはこの世界での新たな名を持つ者だ。


 何度も繰り返される人生の中で、職業も立場も年齢も変わりながら、私はずっとエリンを探し続けてきた。


 彼女に会えない世界が続き、心が擦り切れ、希望が薄れかけていたその時、次の世界が訪れた。そして、そこで――ついに彼女が現れた。

この世界で私は、四十代の放浪する剣士として生きていた。風に焼けた肌、使い古された剣を腰に下げ、旅の塵にまみれたマントを羽織って、私は小さな町の広場に立っていた。


 そこに彼女がいた。エリン。幼い少女の姿ではなく、二十代の女性として、穏やかな微笑みを浮かべながら魔法の杖を手にしていた。彼女の瞳はやわらかな光を湛え、風に揺れる髪はかつての記憶と同じ色をしていた。私は一瞬、息を忘れた。心臓が激しく鼓動し、手が震えた。エリンだ。間違いない。彼女だ。


「ああ、よかった……」私は声に出さず、心の中で呟いた。幾つもの世界で彼女を見失い、絶望の淵に立たされていた私の魂が、ようやく救われた瞬間だった。彼女はまだいてくれた。


 運命がどんなに私を試そうとも、彼女との絆は途切れていなかった。私は安堵のあまり、膝をつきそうになったが、そんな自分を叱咤して立ち直った。彼女に会えたのだ。泣いている場合ではない。


 彼女は私に気づき、ゆっくりと近づいてきた。「旅の方ですか?」と彼女は尋ねた。声は柔らかく、まるで遠い記憶の中の鈴の音のようだった。私は言葉に詰まりながらも頷いた。この世界での私は、彼女にとってまだ見知らぬ旅人に過ぎないのかもしれない。それでも構わない。彼女がここにいる。それだけで十分だ。私は何度でも彼女と出会い直し、彼女との絆を築き直すことができる。


「何かお困りなら、手助けしますよ」と彼女は言った。彼女の手から小さな光が放たれ、そばにいた子供の擦り傷を癒していた。あの時と同じだ。初めて出会ったあの村で、私の傷を癒してくれた小さなエリンと同じ優しさだった。


 私は胸が熱くなり、涙を堪えるのに必死だった。「ありがとう」とだけ、掠れた声で答えた。彼女は微笑み、私をじっと見つめた。「どこかでお会いしたような気がしますね」と呟いたその言葉に、私の心は震えた。彼女も、どこかで私を覚えているのだろうか。幾度も繰り返した人生のどこかで、私たちの魂が響き合った記憶が、彼女の中にも残っているのだろうか。


 私は彼女のそばに留まることを決めた。この世界で、剣士として彼女を守り、彼女と共に生きる。彼女が現れたことで、私の旅に再び色が戻った。エリン、君がいてくれるなら、私はどんな姿でも、どんな人生でも受け入れる。


 君がいる世界は、それだけで美しい。長い長い旅路の果てに、ようやく君に会えた。私は安堵し、心から感謝した。次の世界でも、その次でも、君と出会えるなら、私は何度でも立ち上がるよ。


 だが今は、この瞬間を、君と共に生きる時間を大切にしたい。エリン、君がいてくれて、本当によかった。

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