第9話 抹消
☆
屑はどこまで行っても見事なる屑だ。
私はそう認識しながら2人を。
八乙女とその兄をどう始末するか考えていた。
それから私は家に帰ってからスマホを弄る。
確かに八乙女の兄は暴力行為で捕まっている。
小さなニュースになっている。
「...所詮はそういう小物かな」
そう思いながら私はスマホを弄りながら嘲笑う。
そうして考えているとスマホが鳴った。
それは先輩からだった。
「もしもし?先輩?」
「ああ。弓親。...大丈夫か」
「?...何がですか?」
「いや。色々と...大丈夫かなって」
「...先輩はお優しいですね。でも私は大丈夫ですよ。何も悪い事は無いです」
「確かに優しいとかそれもそうなんだけどさ。俺の彼女だからな」
「...先輩...」
「弓親の事が心配になる」
「アハハ。ありがとうございます」
それから私は他愛のない話をする。
その中で。
私は先輩に聞いた。
八乙女の事を。
「八乙女...どう思いますか」
「八乙女?...奴はどうしようもないから。さっきも言ったけど離れるしかない」
「ですね。でも先輩。このままでは恐らくまた来ますよ。彼ら彼女らは」
「...恐らく嫌がらせはまだ続くだろうな。...だけど俺はお前を守るよ」
「...そうですね。私も貴方を守りますよ」
そして私は「...八乙女はクソですね」と言う。
先輩は「執念の女って感じだな」と答える。
私は唇を噛んでから「あのしつこさは異常です」と言う。
「...私は彼ら彼女らには死んでほしいです」
「そこまでは無いかもだけど。...そうだな。確かにいい加減にしろって感じではあるかもしれない」
「...ですね」
「でも弓親。アイツらの事を想像して破滅するのは良くない」
「...」
「お前が苛立つ理由も分かるが奴らは...そのうち何もしなくても天罰が降ると思う。だからお前に苛立ってほしくない」
「...ですね。先輩の彼女です。...だから落ち着きます」
「ああ。そうしてくれ」
それから私は「...話変わるんですけど」と言った。
そして私は「...お父さんがその。過労で倒れまして」と言う。
内緒にしていたけど...ここで言わないと先輩が心配するかも、と思った。
すると先輩は「え?大丈夫なのか?」と聞いてくる。
「はい。...というか働き過ぎですね」
「娘に甘いもんな。お前の親父さん」
「そこが良い点ではあるんですけどね」
「...報告したのか?俺らが付き合っているの」
「はい。...というか察しているみたいだったので」
「そうか」
そして私は「...先輩。彼氏になってくれてありがとうございます」と言う。
お父さんも喜んでいたし。
考えながら私は笑みを浮かべる。
すると先輩が「...今度お見舞いに行きたい」と言ってくれた。
「じゃあデートと一緒に行きますか」
「お、おう。デート付きか」
「そうですね。フルコースです」
「そうか。分かった。じゃあそれまでに決めておくよ」
私は「はい」と笑みを浮かべながらそのまま電話を切る。
それから私は胸に手を添える。
ヤバイ。
滅茶苦茶に心臓がドキドキする。
というか楽しみで仕方が無い。
「お父さんゴメン...」
何か利用する形になってしまったけど。
思いながらも私は嬉しさで小躍りしていた。
そして私は洋服箪笥の中から服を取り出す。
それから選んでいく。
☆
デート、か。
そう思いながら俺は切ったスマホを見る。
そして俺はスマホをベッドに投げてから天井を見上げる。
正直...こんな事になるとはな。
また女子と付き合う事になってデートする羽目になるとは。
「分からんものだな。人生って」
しかしアイツの親父さん大丈夫かな。
滅茶苦茶、体が弱っているのは知っていたけど。
風邪も毎年の事。
インフルも、であるが。
可哀想に。
「まあでも...気晴らしには良いよな。...奴を忘れられるなら」
そう思って居た矢先の事だった。
電話がかかってきた。
それも...八乙女から、だ。
俺は苛立ってから着拒にした。
そして俺は横になる。
☆
そして翌日を迎えた私。
起き上がってから直ぐに家を飛び出す。
それから先輩の家に向かった。
インターフォンを鳴らす。
「はい」
「私です。弓親です」
「ああ。弓親か。...開いてるぞ」
私は門を開けてからそのまま構わず玄関から入る。
それから私はリビングに居る先輩の元に向かう。
先輩は驚いた目で私を見ていた。
パジャマ姿だ。
「何をしに来たんだ?朝早くから?」
「モーニングサービスです」
「モーニングサービスっておま!?」
「はい。彼氏彼女なんですから」
「いやいや...それでこんな朝早くって」
「先輩。ササッと着替えて下さい」
「私がズボンとかパンツとか脱がしましょうか?」と言うと先輩は「い、いや。良いよ」と赤面してから奥の部屋に退避する。
別に下半身を見るぐらい構わない。
それに...何時かは必ず見ないといけないのだから。
「赤ちゃんを作るのに...ウフフ」
私はそう赤面しながら悶える。
それから私はルンルンの気分で朝食を作り始める。
目的はこの為だ。
とにかく朝ご飯を作りに来たのである。
「八乙女が出来なかった事を全部しないとね」
そう呟きながら私はスクランブルエッグを作ったりする。
絶対に私は彼ら彼女を許さない。
社会的に抹消する。
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