第39話 貫徹なりの愛
誰かを愛することで自分を肯定したい。
わしの心にポッカリと穴の開いてしまったからじゃ。
わしは婆さんを失った。
しっかり愛せただろうか?
わしは幸せにできただろうか?
わしは愛せたと誇ることができなかった。
もし、婆さんをしっかり愛せていたらこれほど後悔をしないだろう。
わしの心には大きな穴があって、空虚感に日々満ちていた。
そんな時にわしの元に現れたのがめぐりじゃった。
めぐりは両親を失った。
大切なものを失ったもの同士、似た者同士じゃ。
3歳だっためぐりはポカンとしていた。
ショックを受けたというより何が起こったか分からなかったのじゃろう。
困った。
人の愛し方を知らないわしが愛を1番必要としている時期の子供を育てるじゃと!
剣しか愛せなかったこのわしが。
婆さんに好きじゃと言ったのもプロポーズを最後にいつだったかも思い出せない。
婆さんが死んだ時に最初に思ったこと。
もっと愛しているを言えばよかった。
娘がめぐりより先に亡くなったとき、思ったのは娘を愛していると言えばよかったじゃ。
わしはめぐりの心の穴を埋める自信がなかった。
めぐりが「ママはぁ?」というたびに泣きそうになった。
しかし、わしがめぐりを育てるしかなかった。
手始めにわしはめぐりに「大好きじゃぞ」と笑顔で伝えることにした。
言葉から始めようと思った。
大好き、愛してる、ありがとう。
何億回でも言おうと思った。
それから、何をしても褒めた。
生きているだけで偉いっ!
1人の人間として扱い、めぐりにいつも感謝を言葉で、行動で、全身を表現した。
た。
わしは婆さんにやれなかったことを全てめぐりにやった。
めぐりを愛することでわしを肯定するために。
※
そんなある日のことじゃ。
「それなぁーに?」
めぐりはわしの半月兼定に興味を持った。
わしは嬉しくなって、剣について知っていることを有らん限り全てと教えた。
やがて、めぐりは天才なことに気づいた。
もしかしたら、ついにわしのことをわかってくれるかもしれない。
しかし、同時にめぐりもわしと同じ運命を辿るかも知れないことにも気づいた。
天才という言葉は響きはいいじゃろう。
それは誰も自分を理解してくれないということでもある。
わけがわからないから天才という枠組みで当てはめる。
天才は孤独ということじゃ。
ならばどうするか?
誰も自分を知ろうとしてくれないから自分で自分を知るしかない。
汝、自身を知れ。
ソクラテスの言葉じゃ。
自分を愛することは自分を知ること。
自分を知れば、やがて自分で自分を愛せるようになる。
わしがいなくても生きていける。
自分は自分の絶対的な味方。
わしはそれだけを分かりやすく、とにかく分かりやすく教えた。
わしはできる限りのことをやった。
だが、わしは知っている。
めぐりの心は溶かせていない。
そんな中、めぐりの凍った心が溶ける方法がわかった。
君が鍵じゃ。
歩夢くん。
※
今日も歩夢くんと戦っていた。
ただし、スマブラで。
もう100勝した。
「雑魚じゃな」
「貫徹さんが強すぎるんだよ、勝てっこないっすよ」
歩夢くんは叫び散らかしていた。
もう少し頑張れよとわしは思う。
歯応えが全くなくて、つまらない。
「こんなことやって何の意味があるんですか」
歩夢くんはそう言ってきっと睨みつけてくる。
待ておった。
この歯向かってくる感じがわしは好きなんじゃ。
さてと。
それより何をバカなことを言っているんだ、歩夢くん。
「意味はないぞ」
「ないのかよっ!」
歩夢くんが目をカッと開いた。
いちいちリアクションがオーバーじゃ。
芸人でもないんじゃから。
「わしは大抵の物事は意味ないと思ってる。そこに意味付けして行くってことが大事なんじゃ」
「ほぉー、なるほど」
それっぽいことを適当に言ったら納得してもらえた。
わしは単に格ゲーをやれる相手が欲しいだけじゃ。
「さぁ、かかってこい」
「次はぶっ飛ばす」
歩夢くんはゲーム画面に顔を向けた。
勝てっこないのに、まだ立ち向かってくる。
わしは嬉しくなった。
やはりな。
この子はまっすぐな子じゃ。
負けても必ず立ち上がる。
人間、負けから学ぶことの方が多い。
めぐりとまっすぐ向き合い続けるのもこの子だからできるのだろう。
いずれめぐりの凍った心は歩夢くんによって氷解する。
それだけはわかる。
わしは見守るだけとしよう。
さてと。
最後に思ったことが一つ。
「歩夢くんは本当にゲームが下手じゃのぅ」
「うっせぇわ」
「そんな曲が流行った気がするのぅ」
「本当あんたは何者なんすか!」
歩夢くんは切れ味鋭く突っ込んでくる。
わしがふざけても全部乗っかってくる。
まるで孫がもう1人増えたみたいじゃ。
こりゃあー、安心じゃ。
わしはひ孫が見れるその時までのんびりと生きることにしよう。
◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆
ここまでお読みいただきありがとうございます。
というわけで、
貫徹さん視点のお話でした。くそ真面目な話が続きましたね。(まさかのヒロインズ不在っすね、ラブコメは何処に…)
さて、
もし、
貫徹さん、いいっすね
歩夢くん、がんばれ
この話、面白い
と思ってくださいましたら、
♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。
レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。
次回はわちゃわちゃ回、女姦しい話です、なんかハーレム久しぶりですね、真面目要素とふざけ要素が混ざり合った話です。
鈴奈ちゃんがやっぱり暴れます(最近これ多いな)
引き続きお楽しみくださいませ。
次回の公開日は6月6日6時頃です。
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