第215話

「好きだ、加那が」


「…そうか」


「お前らが俺と愛の関係を疑ってたのは分かってる、ただあの話を俺から言うわけにはいかなかったんだ」


「…まあな」


「ごめんな」



洸臥は静かに首を横に振った。



「加那が傷つかなければそれでいい」


「…俺が愛といる限り、加那は傷つくかもしれない」


「……」


「でも加那を守るから」


「…ああ」



少し納得がいかなそうな洸臥としっかり目が合って頷いたのを確認して倉庫を出た。



加奈にも、洸臥にも、申し訳ないことをした。


でも愛には俺しかいなかった。あんな愛を放っておけるわけもない。



ずっと辛い思いをさせてしまっていたけど、きっと2人なら分かってくれるはずだ。





隣にいた繊が沈んでるのも気づいていたけど、それには敢えて触れないでおいた。





倉庫を出てバイクに乗って愛の家に向かう。



電話をしてもメッセージを送っても愛からの連絡は無くて、もしかしたらまた手首を切ってるんじゃないかと全身から冷や汗が湧き出てくる。



お願いだからなにもないでくれ…


手首を切った愛を見つける度に俺の心がすり減っていくような感覚がする。


愛の心の欠片がこぼれ落ちていくような気がする。


拾おうとしても愛は受け取ってはくれなくて、ただ徐々に欠けていく愛の心をそばで見ていることしかできない。

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