猫の僕

野守

Prologue

Prologue

 どこかの国の伝説によれば、猫の国というものがあるらしい。子供の頃にその昔話だか民話だかを聞いたが、猫が付く可愛らしい題名に反して、ちょっと背筋が寒くなる感じの終わり方だった。飼い猫が突然「自分が次の王様だ!」と人の言葉を話して飛び出して行ってしまうのだ。


 そんな伝説を本気で信じたくなったのは大人になってからだった。幼心には怖かった例の一言が、その時ばかりは羨ましくなった。いなくなる前に挨拶してくれるとは律義な猫じゃないか。我が家のあいつは、何も言わずに行ってしまったというのにさ。




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