ただ、いつものように鍛えてあげてただけなのに

あれから、数日経った。今日は学校がなかったらしく、早朝からになってたんだけど、朝起きるのがほんとにしんどいってのはおいといて


私は鍛え方は変えずに何度も魔物を倒してもらって、その後に私と戦っての繰り返してもらってる。

美華は少しずつ体力がついてきてるし、唯華さんもスキルをどうにかしようと頑張ってるらしい。



「でも今日もあんまり避けれてなかったな⋯もっと鍛えてもらった方がいいのかな」


私が変えながらしごいてるってのもあるだろうけど…

今の時間は、11時かな?そろそろお昼ご飯でも食べに行こうかな、最近いい雰囲気のカフェ見つけたし、あそこにでも行こう。


『⋯あ』

『え!?ちょっと!?』


そうして、私は局から出た。早朝だった代わりに午後は暇になるし、カフェの後はどこかにいこう


『ねぇ』


お店どの辺にあったかな⋯確か、このまま北に行けばいいんだっけ?


『聞こえてないの?』


どっちか忘れちゃった⋯えぇっと、北でいいんだっけ?急に、南の方な気も⋯ん?


『無視しないで』

「気が付かなかった、誰?」

『私、天海あまがい 莉央りお


え何この人、急に自己紹介されても困るっていうか⋯てかほんとに知らない人なんだけど、誰?


「なんの用?」

『私たち、仲良くなれると思う』

「????」


え、何をそんなドヤ顔で⋯え??


「⋯どうして?」

『私には、わかる』

「あなたに分かっても私にはわからない」


この人、友達いなさそう⋯


『友達はちゃんと、いる』

「⋯ほんとに?普段どうやっていきてるの?」

『普段の私は、もっと落ち着いてる。偉いでしょ』

「⋯ほんとに?」


『ちょっと!?先に行かないでもらえる⋯!?』

『あ、沙羅』

『はぁ、追いついた⋯莉央、あなたはほんとに⋯あれ?あなたは⋯?』

『沙羅、私の新しい友達』

『またあなたは人のことを考えずに⋯いつもみたいに大人しくできないのかしら?』

『そちらの方も申し訳ございませんわ、莉央はちょっと変なところがあって⋯』

「大丈夫」

『沙羅、この人』

『ん?⋯あ!!!』


急に大声でこちらに指を指すなんて、なにかあったんだろうなあ、最近は心当たりしかない。


『こほんっ!名乗り忘れてたわよね、私の名前は九条くじょう 沙羅さらよ、よろしくねお願いしますわ。⋯⋯えっと、あなたの名前を聞いてもいいかしら?』

『はぁ、締まらない⋯』

『誰のせいでこんなことになったと思ってるのかしら!?いつも大人しくしてって言って⋯』

「それで、なんか用?」

『私達は、いい仲になれる。だから、いこう』

「さっきから、何を言ってるのかわからない」

『はぁ…莉央は黙っててもらえるかしら…?』


この人達、今まで見てきた人よりもイカれ⋯個性的かも⋯九条さんが会話が成立することを祈るしかない


『こほんっ⋯一応確認なのだけど、あなたよく最近噂されてる子ってことでいいわ⋯よね?』

「なんの噂かわからないから、わかんない」


いや、もうわかってるけどね。

魔法少女の事のことだろうけど、ちょっと意地悪したくなっちゃった


『あぅ⋯くぅ⋯あ、あれよ!あの⋯』

『魔法少女のこと、あなたでしょ?』

『あぁっ!そんなこと言ったら⋯!!』

「あなた達、魔法少女なの?」

『ほら!違うかもしれないじゃない!?』

『落ち着いて、この人、局から出て来てるから間違いなく関係者だから、問題ない』

『⋯⋯騙しましたわね??』

「⋯いや?」


魔法少女ってのはおかしな人しかいないよね、最近学んだけど


『マイフレンド、名前は?』

「私に言ってるの?それ」

『それ以外なにかある?』

『莉央、もう私が喋るからずっと黙ってなさい』

『いやだ』

『このっ⋯。私もあなたの名前が知りたいのですわ、教えてもらえないかしら⋯?』

「小宵」

『マイフレンド、小宵──『だから黙ってなさいって』』

『⋯⋯』

『小宵ちゃん、ね。さっきも言ったのだけれど、莉緒がごめんあそばせ。いつもはなんとかしつけてるんだけど、今回は暴れてて⋯』


しつける⋯?暴れてて⋯?


「大丈夫」


この人、黙ってれば美人なのにちょっとポンコツっぽさが⋯頑張って上品さを保とうとしてるのはわかるんだけど、天海さんのせいで上品さを保ててなさそう…?



九条さんは、日本人離れの金髪に長い髪にとても似合っていて、赤色の瞳がとても綺麗で上品さを醸し出している。と言ったのが第1印象

動物に例えるなら、きっと狐とかが似合うと思う


⋯そして何より気になるのが、歯が出てしまっているけど、とんでもなく長いのかな…?


『⋯?あ、これ?これわね、お母様の遺伝子が強かったからなのか、お母様と同じく出てしまっているのよね。恥ずかしいからできるだけ隠していたのだけど⋯』

「私は、綺麗だと思う」

『そう、なのかしら?私はそうは思わないのよね…』

『そろそろ、私も』

『⋯莉央、何を言いたいか知らないけどですけど、今度は飛ばしすぎないようにしてちょうだいね』

『わかってる』

『マイフレンド、小──痛い、沙羅、わかった、わかったから』


『私達、いまから遊びに行くところだったから、小宵も行こう』

「いやだと言ったら?」

『行くまで誘う』


だめだこれ、過去一話聞かないタイプだ、九条さんは⋯あ、こっちもダメだ、ため息をつきながら完全に諦めてる⋯


『ごめんなさいね小宵ちゃん、今の莉央は私には対処不可能なの、どうか頼まれて欲しいですわ』

「…少しだけなら」

『⋯!小宵、なにする?』

「なんでもいい」

『⋯そんなににあったのかしら?莉央』

『ぐー』

「?」


体質とは?


『私、いい人とだめな人いて、小宵はいい人』

「何を言ってるかわからない」

『莉央は生まれつき、少し特殊な体質ってだけのことよ、元々の性格もこれなのに、莉央は体質とあわない人といると寒気がするのよね。


ま、私は莉央ごときにそんなこと感じないけど』

『この前私に魔力負けてたのに』

『はぁ!?あんなのたまたまよ!!もっかいやれば⋯』

「仲がいいんだね」

『うん』 『よくないわよ!!』

『ほら、小宵ちゃん、行きますわよ!私が莉央より勝ってるって教えてあげるわ!!』

「私、行く事は確定なの…?」

『小宵、いこう』


よく分からない事に巻き込まれた私は、そのまま大人しく2人について行った。


『ここなら、色んなものがあるから色々できる』

『最初は何しようかしらね、小宵ちゃん、なにか案とかないかしら?好きなものでもいいですわよ?』

「私、この中何があるか知らないから何も言えない」

『あ、そうでしたわね、先にマップでも見に行きましょうか』


「…見た感じ特にしたいこと何も無い」

『私もこれといってやりたいことは無いわね…うーん…』

『小宵、小宵、ゲームしにいこう』

「九条さんは?」

『いいから、いこう』

「わかったから、引っ張らないで」


九条さん地図ガン見してるけど置いてっていいのな?いや面白そうだし、置いて行こっと



『ゲーセンは私の庭、なんでも任せてくれていい』

「じゃあ、任せる」

『クレーンゲームにしよう』

「わかった、どれにする?」

『やったことないけど、お菓子でもとろう』

「わかった」


ボタンをタイミング良く押して、棒でお菓子の山を崩すゲームらしいけど…これ、ちゃんと落とせるのかな


『むずかしい』

「惜しい」


『小宵、このゲーム終わってる』

「落ち着いて」


『小宵、これだめだ』

「取れそうだけどね」

『じゃあ、やってみる』


『もうすぐ、取れそう』

「頑張って」

『ここ──『やっっっと見つけましたわ!!』』

「…あ」

『ズレた…』

『莉央!私を置いてくだなんてどうかしてるのかしら!?』

『いつものこと』

『はぁ…小宵ちゃんも、一言何か言ってくれても…』

「面白そうだったから、つい」

『面白くないわよ!!』

『沙羅のせいで、お菓子とれなかった』

『私のせいになるの!?』

「諦めて、次いこう」


このまま言い争いされても周囲が気になるから、早く移動した方がいいしね


『じゃあ、次はこれを──』

『小宵ちゃんと莉央!勝負よ!!』

『受けて立つ』

「私もなの?」


『あぁっ!?どうして撃てないのよこれ!?』

「リロード、できてない」

『沙羅はバカ』

『バカ!?まだ勝負はついてませんわよ!!』


『このゲームなら得意ですわ!』

『前、最下位とったの知ってる』

『あれはたまたま途中で落ちちゃっただけですわ!』

「やったことない…レースゲーム?」


『ふっ…沙羅も小宵も、私には及ばない』

『くぅっ…』

「本気で悔しそう」

『じゃ、じゃあ…ホッケですわ!』

「2人しかできなくない?」

『私がひとりでいいよ』

『小宵ちゃん!ボコボコにしますわよ!』

「2人の方がやりずらそうなのに」


『……もう何か食べに行きましょう、今日は調子が悪いみたいですわ』

『負け惜しみ?』

「煽らない、私も、何か食べる」

『2対1ですわ!ついに私達の勝利ですわね!?』

「何を言ってるの?」


他で負けてるから負けなんだけど


『小宵、裏切るの…!?』

「ほんとに何を言ってるの?」


この2人といると別の意味で疲れる。


負けず嫌いが凄まじい九条さんと、すぐ煽って九条さんをボコボコにする天海さん、こんなの疲れないわけない…


『お腹すきましたわね…お昼ご飯食べに行きましょう』

「わかった、何食べに行く?」

『私、いいお店知ってるから、行こう』

「わかった」

『いいお店ってもしかして…』

『お昼は好きなものを食べるべき』

『またスイーツ…ダイエット中なのにぃ…』

『さぁ小宵、いこう』

「…うん」


九条さんの悲痛な小声が聞こえた。

スイーツは止めといてあげても…いや、天海さんが行く気満々だから無理だこれ。


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