屋上って、憧れますよね…とかそんなことしてたらやらかしました。
今回いつもより長めにしてます。
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謎の魔法少女がどこかへ消えてしまった後、私達は変身を解除した。
「ふぅ…みんな大丈夫??」
『えぇ、なんとかね…』
『もう無理、動けないぃー…』
「強かったもんね、あの魔物…」
けど、その魔物を一発で倒してしまったあの子。
どこかで見たような気もするあの子のことをもっと知りたかったけど、急に頭が痛そうに頭を抱えると、どこかへ消えてしまった。
「…あの子、大丈夫なのかな…」
『心配ね。けど、探そうにも…』
彼女はいきなり目の前から消えてしまったので、探そうにもどの方向へ行ったのかすらわからない。
「名前を忘れたってどういうことなんだろう…」
私は、小声で言う。
彼女は、名前を忘れたと言っていた。
『…考えても仕方がないわ。一旦、私たちは帰りましょう。』
『そうだね、帰って寝よう!』
そう春菜ちゃんが言うと、唯華さんは春菜ちゃんをジト目で睨んでる。本人は気がついてないみたいだけど…
そんなことを話していると、誰かがきた。
『大丈夫?魔物は?』
この人は…
『る、
『うん、そう。』
月海さんといえば、魔法少女全体で見ても実力が上位クラスの人。
『月海さんがなぜここに…?』
『呼ばれたから…魔物は?』
忘れていたけど、私達の役目は時間稼ぎなのだ。
だから、月海さんがここに来るのも当然で…
「えっと…魔物は、知らない子が倒してくれました…」
『知らない子?どこの子?』
どこの子…確かあの子は…
『未所属らしいです。』
『未所属…野良の魔法少女…』
月海さんは、何かを考えている。
多分、野良の魔法少女で勝てる人がいたかどうか考えているのかな。
『…まぁいいや。局へ行こう。』
そう月海さんが言うと、月海さんは歩き出した。
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歩いてから数十分、私達は魔法少女局へと足を運んだ。
『春菜は、怪我してるから先に回復しに行ってきなさい。』
唯華さんがそう言うと、春菜ちゃんは明らか不満げにしている。
『えー?嫌だよ!私も行くぅ!!』
『…春菜、佐藤さんに言うわよ。』
『げっ…』
佐藤さんとは、この魔法少女局の1部の管理をしている偉い人。指示を飛ばしたのも彼女で、いい人。…けど、怒ると怖い。
「春菜ちゃん、回復してきてもらってね」
『美華ちゃんもそういうのぉ…??』
『いいから早く行きなさい。』
『はいはい、行ってきますよー!!』
そう言うと、春菜ちゃんは私たちとは別れて行った。
私達は、佐藤さんがいる部屋の前まで来た。
『…佐藤さん、私。』
月海さんがそう言うと、物音が聞こえてくる。
数秒後、ドアが開いた。
『月海か、お疲れ様。…焔はどうしたんだ?』
「焔ちゃんは怪我が酷いので、休んでもらってます。」
私がそう言うと、佐藤さんは申し訳なさそうに…
『…そうか。今回のことはある程度聞いている、すまなかったな…』
そう言うと、佐藤さんは頭を下げる。
今回のことは、私達の実力が思っていたより不足していたことが原因で、佐藤さんが謝るようなことではない。
「さ、佐藤さん!私達に原因があるんです、頭を上げてください!」
『いや…君達の原因ではなく私に原因がある。今回のことは本当にすまなかった。』
佐藤さんは頭をあげようとしない。
『そんなこと今はいいから、本題に行こう。』
月海さんがそう言うと、佐藤さんは頭をあげる。
『…ああ、そうだな。中へ入ってくれ。』
そうだ、あの子のことを話さなくちゃ。
そして、私達は一部始終を話した。私達がもう限界の時、助けてくれた少女のこと。
その少女はとても強く、災害級の魔物を1撃で倒したこと。
魔法少女名はないらしく、おそらく新人だということ。
そして、本名を忘れてしまったこと。
──そして、あの子は突然頭を抱えたかと思うと、どこかへ行ってしまったことを。
『…なるほど。野良の新人の魔法少女か』
私達が全てを話し終え、困ったように佐藤さんはそういった。
「あの子、名前を忘れたと言ってました…」
あの子は、そう言っていた。
なぜ憶えていないのか気になる。
『…名前を…記憶喪失?…何も分からないな…』
佐藤さんは何かをブツブツ言っている。
彼女も、あの子のことが気になるのだろう。
私も気になってる。
なぜ、あの子に既視感を覚えるのかとか。
「私、また会ってお礼をしたいです…!」
佐藤さんはまた何かを考え込んでしまった。
『…仕方がない。見た目の特徴は?他の魔法少女にも手伝ってもらうしかあるまい。』
佐藤さんはそういう。
つまり、まだ会えるチャンスはあるということ。
『…身長は低くく、肌は色白くて、髪はとても長い白色でした…。衣装は全体的に黒が目立っていて、瞳の色は青。腕はあまりにも細く、すぐ潰れてしまいそうでした。』
唯華さんが、あの子の特徴を言うと、佐藤さんはメモを取り始めた。
『他の特徴はないのか?おおよその年齢だとか』
『…そうですね…年齢は8から12歳と言った所でしょうか?あとは…武器種が、大鎌でした。』
『8から12歳…?そんな早くからの魔法少女は見たことがないが…』
『見た目と声から判断したので、ズレてる可能性はなくはないですが…その辺でしょう。』
確かに、あんな小さい子知らないな…新人だとしても、ある程度は耳にするはずなんだけど。
あんなに身長が短く、あんなに強いのだ。
ある程度噂になっててもおかしくないと思うんだけど…
『…とりあえずわかった。他の魔法少女にも伝えておく。2人とも、今日はゆっくり休むといい。』
『「はい」』
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主人公視点
「ふぅ…疲れた。」
私は、一旦どこかの路地裏へ来た。
それにしても、あの痛みはどういうことなのだろう…薬のせいだろうか?
「うーん…わからない。」
とりあえず、これからどうするか考えないとね。
「
一旦変身を解除する。
「…あ。」
今思ったけど、こんな服装じゃ外を出歩くのはあんまり良くない…よね。
どうしよう?あまり人前に出れるような服じゃないし…服を買いに行こうにも…お金なんてあるわけないし…
「…盗む…?」
うーん…なんでもいいから服欲しい…
「…はっ!」
閃いてしまった。
あの魔物が暴れてた場所…そこには人がいないはず。
つまり、バレないよね。
そうして、私はまた魔物がいた場所にきた。
もう頭痛も寒気も治ったし、好きに歩ける。
なんでああなったかは知らないけど…
「家がちょくちょく崩れてる…」
酷いものだ。生き残ってる家の方が多いものの、もう瓦礫しか無い家とか、半壊してる所なんかある。
「…まぁ被害がこれだけで済んでるだけましだよね。あの3人達のおかげ」
被害が少ないようにしたはず。
そうして、私は適当に家を漁ってるんだけど…
「女物じゃなきゃだめなのかな…」
性別は女でも、心は一応ぎり男なのだ。
許されるなら男物がいい…
「うーむむむ…」
女物を適当に見ていると、白色のフードを見つけた。
私の身長からすると少しでかいけど、逆に都合がいいかな。
「うん…いい感じかな…?」
着心地は悪くないね。
外見は自分じゃわからないし、一旦鏡でも探そうっと。
結局鏡は見つからず、諦めて適当にぶらつくことにした。
「もう夕方だ…うーん、もうすることもないし何しようかなぁ…」
今、橋の上で川をぼーっと見ている。
私が帰る場所なんてまずないから、どうしようかと迷ってる。
「…そうだ、結局あれはなんだったんだろ…」
あの痛みのこと。
暇だし、あのことについて考えることにする。
おそらく、薬関連ではないと思う…。
スキルを使ったらペナルティが発生するとかの場合、もっと前にそのペナルティが発生するはず…
「となると…スキルそのものに原因がある可能性も…」
私が使ったスキル『死を告げる大鎌』は、言葉通り相手に死を宣告し、断罪するスキル。
と言っても、その「死」は確実ではなく、普通に避けられる場合もあれば効かない時もある。
今まで使ったことのあるスキルではないけど、ある程度はわかるんだよね。
「もしかして…「死」が関係している…?」
「死」に関するスキルは、存在するかも不明なスキル。
しかも、その「死」は確実ではない。
おかしくないですか??
「死」を告げてるのに死なない時もあるって…
まあそんな矛盾はおいといて、「死」がさっきの痛みを引き起こした可能性は無くはない。
「死」というのは、いずれ辿り着くべき終着点。
私はそう考えてる。
その「死」を、無条件で使うというのは無理なことなのかもしれない…
けど、これも推測にすぎないんだよね。
もう1回使う機会があれば、その時にわかるしいっか…もう使いたくないけど…。
そうして私は、夕日が映る川を見ながら、そう考えるのであった───
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あれから数日経った。
相変わらず私は野宿だけど、あまり生活も困っていない。
普段は近くにいる魔物を狩ったりして、暇を潰してる。
ちょくちょく魔法少女に遭遇して、驚かれるけど…私の知ったことじゃない。
ていうか人と話したくない…なんで私こうなったんだろう…。
人を観察していると、みんなスマホとやらを使って暇を潰したりしているらしい。
私が生きている時は、そんなの無かったんだけど…まぁいいか。
今は、学校の屋上に勝手に侵入して風景を楽しんでる。
理由はもちろん、ひまだから!
「いい景色なんだけど…お腹すいたなぁ…」
私はあまり食べれていない。そらそうだよね、お金ないんだもん。
お腹を鳴らしていると、人の気配がした。
「…むむ…人が来た。」
今は変身状態じゃないし、逃げられない。しかも、あんまり人に見られるのはよくない…。
ひとまず、私は見つからないところに隠れるとしようかな。
───この後、後悔することになるとは知らずに私は屋上の屋根へと頑張って登った。
きつかったです。
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美華視点
お昼休みになったので、私は教室を出る。
今日は、屋上に行きたい気分なので屋上へ行こう。
この学校は屋上は立ち入り禁止だけど、都合よく鍵が壊れているので入れる。
そうして向かってると、話声が聞こえる。
人がいるのかな?と、そう思いながら扉を開けたけど、誰もいない。
「あれ…?だ、誰かいます?」
返事は聞こえない。
私の気のせいだったのかな…。
ひとまず、私はお弁当を食べることにしよう。
いつもお母さんが作ってくれる弁当。とても美味しいんだよね…。
「いただきまーす」
そういって、私はお弁当を食べ始める。
「やっぱり美味しいなぁ…。」
なんでこんなに美味しく作れるのかわからない。私が作った時は普通の味しかしないのに…
そう私が食べてると、『ぐぅぅ〜』と聞こえてくる。
一瞬私のお腹が鳴ったのかとも思ったけど、そんなはずは無い。
なった方向は…後ろ?
「だ、誰かやっぱいるんですか…?」
私はベンチに座っており、すぐ後ろには壁がある。
となると、反対側かな?と向かうけど、誰もいない…
「あれ…?おかしいな…」
幽霊か何かだろうか?私、そういうの無理なんだけど…と怖がって居ると、天井に白い何かが見えた。
「そ、そこ…誰かいますよね…?」
と言うと、つい最近見た顔が私の前に現れる。
「…っ!」
私が驚いていると、彼女のお腹がまた鳴った。
「あっ…えっと、食べる…?」
とりあえずお腹がすいているようなので、お弁当いるか聞いたんだけど…なんでいるの??
『…うん』
あっ…可愛い…じゃなくて、欲しがっているようなので渡した。
「えっと…なんでここにいるの…?それに、体調は大丈夫?」
夢中に食べてる中申し訳ないんだけど、私は気になることがあるので聞く。
『ん…ジャンプした』
「そっかぁ…体調は?」
『…?…治った。』
一瞬なんのことか分からなかったのだろう。
体調は治ったようでなにより。
「…じゃなくて!なんでここにいるの!?」
ここに来た方法じゃなくて、なんでここにいるのか聞きたいんだけど…
『…暇だから』
「…そっか…?」
『……』
「……」
き、きまずい。
私は元々あまり人に話しかけるタイプじゃないから、話題とかないよ…
『いただきます…』
彼女はそう言うと、お弁当を食べだした。
「…?」
食べたと思ったら、今度は固まってしまった。
「ど、どうしたの…?もしかして口に合わなかった?」
『…ん。…美味しい…と思う。』
「…?」
他人事のように言う彼女を不思議がっていると
『…何だか…懐かしい味がする…。味は、感じないのに…』
「…味は感じない…?」
つまり、つまり味覚が…?
この子は一体どんな環境で育って来たんだろう…そう考えると、心配になってしまう。
『……』
彼女が、まじまじと私を見つめてくる。
どうしたんだろう?
「どうしたの?」
『…ぁ、なんでもない』
「…?」
そこからは会話はなかった。
私は彼女のことをずっと考えていた。名前を忘れ、味覚がないこの子のことを。
いずれにしても、いい環境で育っていなかったのは分かる。
それに、さっきからどこか強く既視感を感じる…仕草、雰囲気、声、姿。それはまるで…
───お姉ちゃんのように。
──────────────────────
これにて5話終了です。
次回は1000PV記念で、番外編or5.5話になります。
もし外にいる時に美華、春菜、唯華に会ったらってやつですね。
5.5話とするか、番外編となるか。まだわかりませんが、遊びに行かす予定なので、よろしくお願いします。
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